jboy さんの感想・評価
2.9
物語 : 1.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
どれぐらいの年齢層の人が見ているのだろう
なろう小説はいわゆる強くてニューゲームのような万能感や安易なハーレムを何も考えずに消費するものという意見をネットでたまに見かけていましたが、ここまで売れているということを踏まえると消費以外に今の時代を象徴するようなテーマや表現が隠れてるのでは?と思い、なろう小説の雰囲気を掴むために視聴しました。
その点を踏まえて3期後半まで視聴した感想は、この作品は「今はなき過去の仲間との絆、思い出が主人公にとって何よりも大切」ということなのかなと思いました。
・配下のキャラに絶大な好意は寄せられるが一定の距離を置いている
・主人公の強い意志による目的がない
・感情の起伏が減ったはずの主人公が過去の仲間との思い出で感情が揺れているシーンが随所に見られる
以上がそう思った理由です。
【キャラ】
主人公から過去の仲間との思い出を引きずっているシーンで哀愁が感じられ、僅かながら感情移入しました。しかしあくまで「可愛そう」という感情で魅力はあまり感じませんでした。なぜなら強い意志に基づいた行動を行わないことと覚悟が感じられなかったからです。
具体的には「そんなに過去の仲間が大切なら仲間を探すことを第一の目標にすればいいのに。」また「人間に情がなくなったと言い他者に対し冷酷非情な行動を行なってるのに、自分は過去の仲間のノスタルジーに浸ったり激情するのはみっともないなぁ」と思いました。
その他主人公サイドのキャラはイエスマン、敵サイドのキャラはどこかで見たような人情劇を演じる主人公サイドの引き立て役以上の印象はもてませんでした。
【世界観】
ゲーム世界がリアルの世界になったというのはどこかで見たことがあるなと思いました。また魔法に細かいランク付けをしたりスキル名技名を多く設定するよりもどういう構造でゲーム世界がリアル世界になったかの説明が欲しいと感じました。
あとクライマックスのバトルで「ゲームのPVPではほにゃらら〜」と主人公が説明し出した時に一気にバトルの緊張感が削がれ、妙な気恥ずかしさを感じて変な汗がちょっと出ました。
【ストーリー】
「圧倒的弱者によるどこかで見たような人情劇→主人公また配下のキャラが圧倒的弱者の集団と何らかの関係性を持つ→圧倒的強者による圧倒的弱者への蹂躙劇」例外はいくつかありましたが大半この構成だったように感じます。
また主人公サイドのストーリーが少ないと思いました。中盤以降は「いやいずれ蹂躙されるキャラよりもっと主人公サイドの話見たいよ」と思いました。ただ主人公サイドは最初から能力を最上級に設定している都合上、キャラクターの成長を描けないので仕方がないのかもしれません。
【結論】
いい作品には作者の読者に伝えたいたいこと、世界はこうあって欲しいという願いのようなものがどこかに見受けられるものですが、この作品からはそれをあまり感じることはできませんでした。圧倒的強者の万能感やハーレムをいい意味で何も考えずに楽しむ作品なのかもしれません。あと声優さんの演技は「さすがプロだなぁ」と率直に思いました。