rFXEy91979 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:今観てる
"作品"で勝負をしていた。何かが心に染み渡った。
#01「ここではないどこか」
{netabare}【TV版】
{netabare}まず音楽が神懸かってた。担当したのは『東京喰種』で知られるやまだ豊さん。こんな壮大なシンフォニーを書ける人とは知らなかった!
まだ世界に"果て"があると信じられてた千年時代を、まるで表現しているようなサウンドたちに感動でした。特に一番震えたのは、
・レイフの冒険譚で挿入されるBGM
・アイスランドへ逃げざるを得なかった先祖たちの過去での曲
・"ヴィンランド"を奴隷の人へ伝えるトールズの場面の曲
・フローキがアイスランドへ迫りつつある場面の曲
これらの曲はヴィンランド・サガの名刺代わりと言っていいです。それぐらい素晴らしい名曲揃いで幸福でした。
一方の物語も、中々重厚・骨太でした。
剣を遥かに越える強さへ、到達していたかつての戦士(トールズ)。
海の向こうへ、戦の嵐へ、思いや好奇を馳せる少年(トルフィン)。
無垢ゆえに理解できないことへ苛立っているトルフィンには、歯痒さを覚えますが、悲壮感も感じました。まだ誰かを殺したわけでも、何もしてない状態ですが、これから嵐へ放られるのを思ってしまうと切ないです。原作は未読ですけど、それを想像しちゃったので。
もうちょっと大作感を増して欲しいとは思いました。でも水準をゆうに越えるアニメーションは間違いないです。
混迷の現実世界の、道しるべのようでもあります。
{/netabare}
【Amazonプライムビデオ版】
{netabare}TV版より倍増していてるアバンパートのことをまず。
"ヨームの戦鬼(トロル)と呼ばれた頃のトールズは強いです。ですが画面やカメラワークはどこか無機質、無味無臭で、もっと言うなら機械的でまるでロボットみたいでした(俊敏に動けるロボット。そう言った方が良いかも)。最初はそれらに高揚感を見い出せなくてモヤモヤでしたが、改めて拝見して、これはトールズ視点だから、彼の機敏に寄り添ったから、こうなったんだと解釈しました。
アバンの走馬灯(?)もとい、"ヴィンランド"の心象場面、その中でのトールズには人間味がありました。奥さんが呼んでることに微笑んでいる場面しかり、彼が戦禍で麻痺した心が、少し戻っているようでした。ただそこでの場面においても、無感情は存在すると、パーセンテージが微量であろうと、存在してると伝えていました。そこが非常に控えめでいて、心を余計に揺さぶってきました。戦争から離れた後の空白の時は分かりませんが、戦争後遺症だったら、解脱のストレスを見たかもですね…。
次はOPのこと。
Survive Said The Prophetの「MUKANJYO」、最高でした(2話で既に見てたんですが)。
荒々しくて、激情的で、哀しくて吼えてるような…まさに主人公トルフィンを唄ったような名曲でした。フルバージョンはYouTubeで何度も何度も見ちゃいましたが、やっぱり"♪~真実の見えない世界"からのビートは鳥肌でした。あそここそ問うているのに返ってこない答えに対して、何でこんなことになったと憤るトルフィンを、その気持ちを叫んだようで、まさにベスト・オブ・ベスト(安っぽくてダサい表現と思うでしょうが、ご了承を)。ハイクオリティでした!配信よりCDで是非とも買いたい一品ですし。
とにかく曲もアニメも水準以上の作品でした。これをTVで見れるだけでも、ボクはスッゴく幸せです。
{/netabare}
【共通項目】
{netabare}ミルヴァが素敵!そんでもってスッゴい可愛い!
一緒に寝られるトルフィンを見て、羨ましいし代われ!と思った(笑)。
こんな輩でスイマセン( ノ;_ _)ノ
{/netabare}{/netabare}
#02「剣」
{netabare}【TV版】
{netabare}スゴくイヤなお話でした。出来が悪いって意味ではなく。
過去をネタに脅してくるフローキもそうですが、何より僕がイライラしたのは戦に浮かれる人間たちです。人を殺し、栄を経ても、先に待つのは殺られる未来。業は死しても追い続ける。そんな終着点しかない。戦時日本もそうかもですが、鼻先に"栄光"だったり、"名誉"と書かれた餌を釣る。それにまんまと釣られてくれればこっちのもんだ。ポンポン死ね。そんな下品な世界の中で湧いてるんです。腹も立ちます。
とあるドイツの将軍は"ライオンの群れを羊たちが指揮するのは初めてだ"、と述べたそうです(by『大いなる陰謀』)。当時も今も目先ばかりにつられる者は上も同様。それにあっさり疑いもなく湧く人間も間抜けです。少なくともトールズはその虚しさを知っています。ボクにはそう見えました。
とはいえこういう戦記ものに惹かれる自分も大概ですが、2話はそういう面も含めて、興味深いとは思いました。まあ1話と比較しちゃうとややパンチが足りないですが、トルフィンやアーレたちにイラッとした人、多いと思う。
いわゆる溜め回なんですが、スッゴくイヤーな溜め回でした(笑)。
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#03「戦鬼(トロル)」(ここまで初回75分スペシャル)
{netabare}【TV版】
{netabare}アーレがいちいち鬱陶しい(笑)。実力もないってのに、虚勢だけは一丁前。"殺るぞー""殺るぞー"と喋る様には余計にイライラ。でもそれをピシャリとさせたトールズにスッゴく感謝。
アシェラッドは悪党だけど、フローキとは大違い。悪党なのは同様だけど、ついていきたい悪党だから、裏でコソコソしてるだけのフローキとは大違い。嗅覚に優れるところや好戦的なカリスマ性は魅力的な人間だけが持てる者だし、ピッタリだった(内田直哉氏も流石)!
断片的に挿入されるトールズの過去も素晴らしかった。子供が産まれて、名前をつけて、そこから何かが変わり始めた。奥さんも子供もいない自分にはまだ分からないけど、それが何かを変えたんだってことだけは、分かった気がした。だからこそそれを解釈出来ることは嬉しかった。そこに人間トールズという、素の一面の欠片があるから。
いよいよ次は決闘回。壮絶な"戦士"の姿を見てない人は是非見てほしい。
{/netabare}{/netabare}
#10「ラグナロク」
【TV版】
{netabare}もうちょっと、だったかなあ。
アシェラッドが"ラグナロク"の話をし出した背景だったり、空想と過去と今の狭間で苦しむトルフィンだったり、面白いところはあるし、背景描写も文句無し。何だけど…もうちょっと。
止め絵のようなカットばかりで、やはり動きが非常に乏しい。元々1話を見ていた頃から気にはしてたし、勿体無いが、この手のアニメは1カットになるべく動きが欲しいところ。固定カメラで今起こっている風景を撮るのではなく、ハンディカメラで最前線を走るような動くカットが。戦場の混乱模様や、大戦期の混沌濃度も、そうすれば余すことなく収められるとスゴく思う。
薮田監督は『いぬやしき』で結構動かしてたと思うし、それがここでも見られないのは、やはり残念だと思う。カットやアングルは没入感にも非常に影響してくるだけに。{/netabare}