蒼い✨️ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
京アニが普通にアニメを作ってみた。
【概要】
アニメーション制作:京都アニメーション
2017年1月12日 - 2017年4月6日に放映された全13話(+未放送1話)のTVアニメ。
原作は、漫画家・クール教信者によって『月刊アクション』で連載中の漫画作品。
監督は、武本康弘。
【あらすじ】
ある朝。26歳のOL、小林さんがいつものように出勤しようと家の外には巨大な緑色のドラゴンがいた。
ドラゴンは目の前で金髪ツインテールの美少女メイドの姿になると自らをトールと名乗り、
昨日会ってこの家で暮らしていいと言われたという。小林さんは昨夜泥酔していたのだが、
記憶を辿ってみると山の中で出会ったドラゴンを助けた挙げ句に意気投合して、
ト『私 行き場 ないんです』
小『じゃ うちくる?』
と、話の流れで確かに言っていた。
“愚かで下等な人間を見下していますが、小林さんだけは別です!”
いつも仕事で疲れてる、ズボラ気味な独身OL小林さんと、
小林さん大好きで献身的な人外メイドのトールの非常識な日常の馴れ初めである。
【感想】
まずは、原作コミックを8巻まで読んだ感想。
・超常の押しかけヒロインと同居というジャンルのベタさ。
・オタクネタと百合ネタを扱うのもあんまり珍しくないような?
・小林さんは女性設定だけど中身が男でも違和感ないかな?
・それをあえて女性にしていることでインモラルさを感じる。
・色気の薄い作画でお色気でしてる漫画。
・HENTAI成分ふんだんだけど、意外と話が重い。
・オタネタ的にはありふれたコメディなんだけど、
キャラの扱いがすごく真面目。それがクール教信者の作風。
・社会との共生&キャラ同士の絆・つながりがテーマみたいな?
・地味な漫画だけど8巻とか読むとストーリー力がある漫画家に見える。
面白さへの評価とは別にアニメ映えしなさそうな会話中心の原作漫画の映像化を手掛けたのが、
作画に定評のある京都アニメーションであり、『らき☆すた』などの武本康弘さんが監督。
明るくポップな作風へと大転換。賑やかでライトなコメディで微エロ成分も健全エロスに。
ストーリーは順番を前後して再構成しているものの原作からいじっている部分は最小限。
唯一イルルの存在が省かれているが2期にて登場予定であったと思われる。
メイドラゴンのアニメ作品の魅力は作画の影響が大きいかな?
原作に合わせているので、京アニとしてはキャラデザがコミカルで等身が低いのだが、
原作そのままの通りというわけでもなく幼女キャラのカンナのデザインが、
原作より子供らしさを強調された太ましさになっている。
なめらかな動画の中で、特にカンナの所作のコダワリが強いように見える。
・カンナの食事の時の箸の持ち方。
・カンナの雨の日のお遊び。
・カンナがベッドに飛び込む動き。
武本監督が自分の子供を資料にしたという未確認情報あり。
萌えHENTAI属性付きの原作のアニメ化に際してすら、親が子に向ける愛情を持って、
作画に力を入れる。ファンの京アニに向けた信頼と安心は小さい部分にも手を抜かない所にある。
アニメーションでキャラに命を吹き込むのは作画である。
動きを楽しむという点で京アニは一貫しており、
ヒロインのトールの真面目に思い悩むときの表情・ドラゴンの爬虫類らしさ表現などで、
元々が地味になりがちな作風を丁寧な作画で大きく補完してるという印象を受けた。
のんべんだらりと繰り返される日常の中で陰のある話を交えながら、
小林さん等人間勢とドラゴンたちの関係が構築され発展する様子を見守る。
そういうスタイルで開始当初から暫くそれでこの作品を楽しめていたのだけど、
第10-11話の完全オリジナル回となると、ただ退屈なだけだったりする。
あくまでも原作ストーリーありきで、キャラがそれによって活かされている。
原作者が理詰めで話を作っていて、キャラが勝手に動いてる作風でもないので、
ごく平凡なだけのアニオリ日常エピソード回となると、イマイチに思えてしまった。
ぶっちゃけて言えば、アニメオリジナル回よりは原作8巻のほうがずっと面白かった。
まあ、アニメの存在が原作者にモチベを与え良い影響を与えたのは確実で、
原作作画が上手くなったりで、原作とアニメがお互いに良い関係であったのは間違いがない。
アニメ2期の制作が発表されて、原作者もファンも盛り上がってたのに最悪な事件が起きてしまった。
大義名分が何一つない犯人の凶行によって、大勢の笑顔と幸せな気分が奪われてしまった。
失われてしまったものは命や才能だけでなく、数十年かけて育まれたクリエイター固有の感性であり、
別人が手掛けてしまったら、似せて作ろうともそれは別作品になってしまう。
失われたものは二度と戻らない。そのうえで会社が再起して人を育て作品作り出来るようになるには、
大変な時間と手間ひまがかかるのは想像に難くない。
それがわかってるからこそ、大勢のアニメファンが応援し支援に乗り出している。
京アニが培ってきたのは、数十年の下請けとしての業界からの信用。丁寧な仕事によるファンからの信頼。
オリジナル・準オリジナル作品のクオリティの高さだけでなく、
少々マニアックな原作漫画付き作品ですら、本気でやる。
ユーフォニアムやヴァイオレット・エヴァーガーデンみたいな、
作画カロリーが高くて本格志向の作品を基準にされてもハードルが高過ぎるので、
メイドラゴンみたいな気軽に見れる普通寄りの作品を手掛けることも大事に思えるのだが。
個人的にはメイドラゴンのアニメは見てる途中で少々飽きてしまったのは否めないが、
京アニがファンから愛される理由が見ていて解る作品。
原作でやってる部分(イルル、カンナのエピソード)をアニメ2期で見てみたかったのも事実であり、
本当にやりきれない気持ちである。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。