四文字屋 さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
厨二覚醒
劇場での鑑賞後、なるほど、と合点がいく点が幾つもあった。
もう10年前の作品ではあるが、
つまりこれは、
セカイ系=アンチ・ドラマツルギーのひとつの完成形なのだろう。
少数しか出てこないキャラクター(人物、怪獣)は、
多分に映画的ではない。
少なくとも、異常な状況に叩き込まれ追い詰められても、
そこには人間的なナマのリアクションとは全く違う姿があり、
演劇的な芝居とは異なる地平に立っている。
怪獣(=怪物?タコ?)についてのドラマ的な掘り下げは一切描かれない。
一方で、怪獣と係わる人間についても、
人物造形の深堀りも心理描写も驚くほど排除されている。
もう半世紀も前に原型の提示されていた
古典的なものとの乖離と、
スタニスラフスキー演技論の放棄が、
こういうかたちでたどり着いた「記号性=新しい可能性」が、
私たちの前に、
すでに披露され、
ファンを生み、
10年の時を越えて続編を従えて再度、目の前に現れてきてくれたという訳だ。
すでにセカイ系というコンセプト自体が、変容し、セルフパロディ化し、
アニメ表現の一手段として融合し切った今日にあって、
この試みをストレートに追求している本作が、続編と合わせて非常に興味深い。
まだ初々しかった花澤香菜の演技が、
時折ぶっ飛び切れずに、メソッド演技的になってしまう違和感が、
ちょっとだけ微笑ましかった。