アルジャーノン さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
戦争という切り口に見る、人生の一側面
第二次戦争、広島の、人々の生活にスポットを当てた映画です。
戦争映画は凄惨な描写が多く苦手ですが
Amazonプライムで観れるようになったのと、
上映中から評判が良さそうな印象だったので、視聴に至りました。
<戦争について>
まず、主人公のすずがおっとりして全体として人間性が柔らかいので、
戦争映画にしては平和で、物資がない中も強くたくましく楽しく生きる様はとても引き込まれます。
ただし、戦争が終戦に近づくにつれて、戦争の生々しい、恐ろしい描写が出てくるようになるので、怖かったです。
そこはきちんと身構えておくべきでした。
(グロイ描写自体はかなり控えてあります)
しかし、戦争の凄惨さ、恐怖を一国民からの視点で伝えており、そこは評価されるべき所なのだと感じました。
<すずについて>
おっとり、あまり難しいことは考えてない優しい性格なので、
戦時中のイメージがかなり柔らかなものに変わりました。
声優ののん(能年玲奈)さんの声がすごく合っています。
少女期の出会いが、嫁いだ後の人生にもかかわってきます。
ただ、すずに完全な清廉潔白なものを求めるのは違うのかな、と思います。
これが当時のリアルな人生の一つなのだと、そう思います。
知らない人に嫁いでいきなり知らない土地、知らない家族に囲まれていても、戦争に巻き込まれても、強くたくましく、優しく生きていてすごいと思いました。
小姑との関わりも好きでした。
小姑の娘との事件も、すずだから二人とも乗り越えたんだと感じました。
ラストもすずの優しさがよく出てて良かった。
<全体について>
すずの特技である、スケッチが物語の描写に重要な役割を果たしていたと思います。
作画も、すずのスケッチがそのまま動いているような、優しいタッチで見やすいです。
この映画を観て、戦争という切り口では様々な一側面が切り取られ、様々な人間の人生があるのだと教えられました。
涙なしには見れませんでした。
最後には、観てよかった、怖い部分もあったけど。それを乗り越えて幸せなような気持ちになりました。