ヒロウミ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
めくるめく強烈なパロディとロイヤルなマルチネタ乱打にノックアウト☆彡
【OVA含む総評】2019/7/21
あずまんが大王の系譜と思いきや独自の空気をまとうネタに称賛を。10年たった今だからこそ「ハルヒの後釜」だけに止まらない懐かし系日常ギャグアニメ。
キャラデザから全く視聴する気がなかったこの作品、キャラ萌えJK日常系はかなり苦手な分野でロリコンじゃないし何よりストーリーの主軸が失敗と成長の物語がとても多く代り映えしないいわゆる記号的作品に感じてしまいすぐ飽きる。完走できている作品はそう多くない。この作品はいい意味で三度裏切られとても楽しめた作品だった。
メインキャラクターJK4人組とその周辺キャラクターの日常ストーリーが主軸なのだがあらゆるネタがあらゆる場所に散りばめられており全く退屈しなかった。アニメ、ゲームのコアなネタだけではなく新旧混じった流行ネタは懐かしさと共に笑顔をくれた。ネットもアニメも大して知識が無く疎い私には8割も元ネタが分からなかったが、2クールの長丁場をストレスなく視聴できたのはめちゃくちゃ広いネタの幅だろう。知名度の高いネタがかなり多くあーあんなテレビあったなー、あ!このネタわかる!!!(笑)という発見の感動がたくさんあり1話視聴ごとにその話のネタの復習がまた面白かった。OVAの最後の物語のパロディは特にバカウケしてしまった。あーこういうの大好きw
そんな笑顔絶えない作り方してるくせに22話はまさかのお話し。こんなんあかんやろ・・・。
涼宮ハルヒの放映後というのも相まってかそのネタと中の人ネタ(しかもCV出演)も多いのだが同社制作の「日常」が大好きな私としては「らっきー☆ちゃんねる」がドハマりした。まさか過去作で「ハカセ」と「阪本」のコントがみられるとは思はなかったしなかなか登場しなかった「朝比奈みくる」がゴットゥーザ様で出演しているとは思いもせず「ブゥンブゥン」のセリフに腹がよじれた。
しかもその後実写でEDってのがマジでウケた。前半クールのEDも懐かしネタが多く面白かったし次回予告にすらネタ盛りだくさんで休む暇がなかったがそれを凌駕した笑いはポプテピピック以上にカオスだった。しかも今ではYouTubeで多くの人が使っているBGM「ふんふんふんだよ」がまさかこの作品から生まれたものだとは知らなかった。
作画はさすが京アニクオリティというべきか10年経過しようとも人が人らしく動く絵はとても丁寧なもので終始破綻することもなく引きの絵も丁寧で他社にはない作品の魅力を醸し出す。特にOPはキャラ萌えしない私でも見入ってしまう中毒性が強いものだった。モブの絵は作中でも言われていたが時間と金の制約からか表情なし、線での描写だが丁寧なキャラクター作画とそれなりに丁寧な背景、キャラクターに対比させた描写構成はそんなモブすら気にならなくなるものだった。
ハルヒにけいおんにこの作品に時間経過は何にも何人にも無条件にあるのに色あせない良作の香り。特にこの作品は当時はハルヒの残り香のような評価も多かったようだが事前知識なく視聴した私にはそれらの作品に遜色無く楽しめた。視聴後ググると未だに聖地巡礼するほどの根強いファンもいるようで元ネタのまとめサイトも多くありレビューもコンスタントに上がっているようで力強い地力を感じた。
京アニに私にとっての場外ホームランな作品があるわけではないが素人目から見てもアニメをアニメでいさせ続けるために培ってきた時間の重みと重ねてきた経験と不変のボーダーラインのようなものはくっきりと見える。守られてきたクオリティと「譲らない」妥協点で頑なに守り続けてきた創造物は職人の結晶と言えよう。この作品が生み出し育んだものは「日常」へと引き継がれその次は何に引き継がれるのだろうか、何を見せてくれるのだろうか。私は支え見守り続けたい。