ノリノリメガネ さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
積乱雲でつかまえて
新海監督の新作。素晴らしい作品だった。
{netabare}
今回は前作以上にどストレートな青春もの。
雨続きの東京で100%晴れを呼ぶことができる女の子と家出少年とが出会うことで起きる、恋と冒険を描いた作品。
いわゆるセカイ系ではある。大人たちを分かりやすい敵として据え、ティーンエイジャーのみで世界の秘密を知り、選択する物語。
観た印象としては「時をかける少女」と「耳をすませば」を足して新海誠エッセンスを加えたような作品だった。
とにかく青春でロックンロールする話。
序盤のカップ麺のフタを押さえていた本が「ライ麦畑でつかまえて」であったことを見ても、この作品が青春を主題に置いていることを暗に示していたと思う。
相変わらず美術は素晴らしい。雨降りの東京がとてもきれいで、画面からその湿度さえ伝わってきそうな程リアリティを持った映像に仕上がっていた。
音楽もRADWINPSが今回もいい仕事をしてた。新海監督の作品はみんなMVっぽくなっちゃうけれど、それが氏の作風なので、最初はちょっと鼻に付く感じがあったけど、今は見慣れてこういうのもアリなんじゃないかって思えるようになった。音楽が良いことには変わりはないし、作品のために音楽を作るってやり方だからマッチするに決まってるし、これはこれで新海監督が生み出したやり方だと思えばやっぱすごいなって思う。
キャラクターも全体的に良いが、特筆すべきは凪先輩の存在だろう。おもしろいしかわいいし、画面を常に和ませる効果があった。
このキャラクターを作り出した感性がすごい。普通小学生の弟キャラを考えるときにこんなキャラ思いつかないでしょう。すごすぎるし、これは人気キャラになること間違いないと思う。
個人的には「君の名は。」よりも好きかもしれない。
「君の名は。」はラブストーリーに徹した形だったけれど、本作はもっと青春寄りで、子どもの力ではどうにもならない無力感とか、それでも無鉄砲に進もうとする若さとか、大人が年を重ねることで忘れてしまうあれこれが詰まった作品だと思った。
その大人の代表ってのが須賀さんというキャラだったのかもしれない。自分ももういい大人なので、怖いもの知らずな主人公たちよりも守るべきものの前で臆病になっている須賀さんに共感してしまった。
私たちはどうしても会いたい人がいるときに、ルールを飛び越えてでも踏み出そうとするだろうか。
{/netabare}