あぶら さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
途中経過
このマンガがすごい!3位に選ばれたとあって、ある程度の期待を持って視聴を開始したが、回を追うごとに先が気になる展開に、どっぷりはまっている自分がいる。現状3話まで視聴しているが、よほどのことがない限りは安定した面白さで最後まで行くだろうと思われる。
世界観設定やストーリーに特段の目新しさは感じない。学生のみの宇宙船、と聞くと「無限のリヴァイアス」を真っ先に思い出すが、今作とリヴァイアスには決定的に違うポイントがある。船内の雰囲気である。リヴァイアスは基本的にクルー同士の中は悪く、誰が主導権を握ったとしても軋轢は避けられない重苦しい旅路であったが、今作のクルーは基本的に善人が揃っている(ように感じる)。各話で多少のいざこざはあるものの、たいていはキャプテンのカナタやヒロインのアリエスのおかげで丸く収まり、すぐに全員で問題の解決に取り掛かることができている。こう聞くと緊張感に欠けるように見えるかもしれないが、次々に起こる問題はどれも深刻なものばかりで、どのように乗り越えていくのかを考えるとハラハラすることも多い。
ストーリーは、現代よりもはるか未来の話で、学生のみの宇宙キャンプとして自然公園に指定されている惑星に降り立った少年少女9名が、謎の球体に飲み込まれ、母星より5200光年先の宇宙空間に放り出される。少年たちは偶然発見した宇宙船『アストラ号』に乗船し、近くの惑星で補給をしながら、母星への帰還を目指す、といったものになっている。この物語の最大の謎は、言うまでもなくB5班がキャンプに送られた目的、およびそれを仕組んだ人物である。劇中では今のところ、B5班はランダムではなく意図的に集められた集団ではないかということ、またそれができたのは教職、ないし学校に影響力がある人物ではないかという想像がされている。伏線は各惑星ですぐに回収される小さなものや、ウルガーの銃や船内の裏切り者など、後々に関わってきそうなものもある。いずれにしろ、現在の段階では先の展開は読めない。個人的に好感が持てたのは、一番想像しやすいといえる第3者の仕掛けた試験、という可能性を、ルカが劇中で発言することで潰したことである。この状況には絶対的な悪意があり、それを跳ね除けるストーリーである、と考えておく方が、のちの展開に期待が持てる。
キャラクターデザインや描写は、そつなく出来ている。アニメーションの作画は良いし、万人受けしそうな顔立ちであると感じる。各クルーのそれぞれに得意な分野があるのも、キャラクターを立たせるうえで不可欠である。しかし、尖った特徴が無いのも事実で、特定のキャラクターに入れ込むといったようなアニメではないようだ。
欠点としては、ところどころ挿入されるギャグ、コメディパートが決定的につまらないということである。笑える・笑えないと感じるのは、個人個人の感性によるものなので、あくまで個人的に合わなかっただけかもしれないが、あれらのギャグはあってもなくても話の本筋が全く変わらない。内容は骨太でワクワクするだけに、ギャグ描写は最低限、キャラクターの味付け程度に収めてほしかったものだが、それができないのは原作者が元ギャグ漫画家であるためか。ストーリー展開も、特に序盤は惑星をたどって帰ることを真っ先に考えつかないものか、母星に帰らずとももっと近くの地球管轄の惑星で救助を待つことはできないのか、などやや無理があると感じたが、欠点と呼ぶまでには至らないと思える。
総評としては、手堅いキャラクター・世界観と先の読めないストーリーで、安定感ある面白さのアニメとなっている。原作が完結済み、なおかつそこまでの長編ではないということもあって、原作に忠実な描写で進んでいくだろう。9人が無事に母星へ戻れるかどうか、今後も期待して視聴させてもらおうと思う。