STONE さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
話数が少ないが、濃度は濃い
原作は既読。
全10話とこれまで一番少ない話数だが、内容がこれまで以上に濃密であったため、感覚的
ヴォリューム感はむしろ増した感があった。
中盤までのウォール・マリア奪回戦の中盤までの絶望的な展開とそれを引っ繰り返す戦いの
壮絶さ。
この逆転劇のポイントゲッター的存在として団長のエルヴィン・スミスと
アルミン・アルレルトの行動が目を引くが、戦いの後瀕死の二人のどちらを助けるかを
選択しなければいけないドラマがまた重たい。
この戦いで戦士隊側はベルトルト・フーバーが死ぬ。
行動を共にしていたライナー・ブラウンに較べて温厚で控えめな印象があったが、精神に
異常をきたしたライナーより自身の正義に確信を持っているのか、覚悟を決めるとライナー
以上に冷酷な感がある。
パラディ島住民の死を望みながらも、自身の死に際しては助けを懇願するところなど、
「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」の真逆の感があったが、実際人間なんてそんな
ものだろうなという感じだし、ベルトルトの正義観からすると相手が死ぬのは当然だが、
正義に従って行動している自分が死ぬのはおかしいと思っていたのかな。
後半はこれまでの多くの謎が明らかになっていく回答編といった感じの内容。
前作でも謎説きという部分はあり、よく練られた話だという感はあったが、本作はより
そういった思いが強まるような展開で、その話の緻密さに感心してしまう。
張り巡らされていた多くの伏線が意味を持ってくる経緯はよく出来たパズルのよう。
単にエンターテイメントとしての面白さだけでなく、ここで明らかになるエルディアとマーレの
関係性、双方が唱える歴史・正当性などが現実の様々の暗喩のようで色々と感じるところが
あるのも興味深い。
外の世界の様子が明らかになったことで、これまでの人類対巨人という図式からガラッと局面が
変わっていくわけだが、序盤を思い返すとまったく想像だにしなかった展開になっている。
数々のフィクション作品を観たり読んだりしているとある程度の展開が見えたりするが、本作に
関してはまったく先が予想できず、改めて凄い作品だなと思ってしまう。
2019/07/17
2022/02/06 修正・追記