安達隼人 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
個人的に好きなシーン
あらすじは多く紹介されているので、個人的に好きなシーンを挙げてみました。人によって違うと思うし、感動の連続のようなアニメなので、他にもたくさんありますが・・・
1話ラスト:悔し泣きしながら眠るカペタの涙を父親のシゲが拭き取ってあげるシーン。貧乏で夢も希望もない姿。大丈夫だから、そんなに泣くな。と言ってやりたくなる。
2話:カペタが初めてカートに出会ったシーン。それまで暗かった表情が突然輝く。原作では見開き2ページ使ってハンドルを触るカペタを大写しする。セリフは全くない。でもその表情から驚きが思いっきり伝わって来る。この原作者は魂を描けるというか、感情の表現が抜群に上手い。
そして、大喜びで坂道をカートで下るシーン。ここ最高の笑顔だと思う。父親のシゲの脳裏に「ううん、オレ、大丈夫だから」と言っていたカペタの言葉が重なる。エンディングのラストにも原作のこの絵がある。
3話:シゲがカペタに「その、乗りてーか?エンジンの付いたカート」と言う部分。「ううん、いい、大丈夫」と言うカペタ。乗りたいに決まっているのに、お金が掛かるし迷惑は掛けられない。10歳の子供が父を気遣い、父もそんな健気なカペタを思うところ。
6話:カペタをオートハウスに誘うナナコさんに「そんなのヤダ オレもうチームあるもん なっおとうちゃん!! オレたちチームだろ!!」というところ。カペタはお父ちゃんが大好き。親子の絆がステキなシーン。
8話のラスト:クラッシュしてもうダメかもと思っているカペタをシゲがなだめるシーン。
そして翌朝、直してくれたカートにカペタが語り掛けるシーン。「ゴメンな、おまえの事、全然考えてなかったよな、オレ。オレ、自分の事ばっか考えて。あちこちぶつかって、痛かったろ。悪かったな。」「今日、おまえはどんな風に走りたい いっしょに考えようぜ。」この場面、個人的には最高の名シーン。カートをモノだと思っておらず、心の通ったパートナーとして語り掛ける。初めてで不安だらけのレース。でも目の前にはお父ちゃんが作ってくれた自分のカートがある。決して一人で戦うんじゃない。
この、車をこき使うのではなく、自分が車に合わせてポテンシャルを引き出すドライビングは、カペタのドライビングの原点。またこのシーンはボロい「カペタ1号」がむちゃくちゃカッコ良く、トランペットBGMが素晴らしい。朝焼けがカペタの未来を象徴するように美しい。
9話:カートに「おまえ、今 すっごく気持ちよく曲がったな!」という部分。この言葉も名台詞。カペタが自分の走りを掴んだ瞬間だと思う。ここでもカートを擬人化している。「よし、行こうぜ!オレたちはもっと早くなれるぞ!」も同じ。
14話:オートハウスの2台をテイクアウトしてカペタがトップ独走に入った部分。カペタの嬉しさがコーナーリングするマシンのダイナミックな映像、BGMから伝わってくる。チェッカーフラグが残念。一周ぐらい走らせてやればいいのにと思う。
同じく14話:レースが終わってオートハウスのイサムが「また、アイツと走りたいな。すごかったんだ。俺、俺!」という部分。ヘルメットを持つ手が震え、イサムの気持ちがありありと伝わって来る。このアニメ、根っからの悪者が全くいない。ナオミも不器用だが根はやさしいいい奴。
29話:ノブが心の中で「スタートの瞬間、いつも思う、こんなにゾクゾクすること他にないって」と語る部分。大歓声、爆音とオイルやタイヤの焼けた臭い。やっぱりレースはいい。そこから去ることなんてできるのか? でも、お金もチームの力も尽きた。その悔しさ。
32話:榛名戦のラスト。ここは感動で号泣するほど。歯を食い縛らないと見ていられない。特に救急車の中で「俺は負けたのか」と言うカペタにノブが泣きじゃくりながら首を横に振る場面。ここは壮絶。
また、榛名戦は水しぶきを上げながら走るカートの描画がものすごく綺麗。よく描いたと思う。
33話:ノブの真剣勝負。よくやった!! F1に繋がるカペタのレールをノブが敷いた。これは大殊勲。
なお「capeta」は2003年3月から『月刊少年マガジン』にて連載が始まった作品で、2005年にはアニメ化されている。アニメが原作に追いつくので、15話~21話はアニメ用の中弛み。そして47話~最終回52話までは完全にアニメオリジナルストーリーとなる。
2006年以降、原作では15歳のカペタはFステ最終選考に落ちるが、ナオミがイタリアのチームに引き抜かれたため、翌年6月20日の16歳の誕生日以降Fステに参戦。そしてその翌年は、春からなんと16歳でF3デビュー。その年の秋には全日本F3チャンピオンとなり、同年11月にマカオグランプリに17歳で出場。そして10歳の頃からの夢だったナオミを破り、マカオGP優勝を果たす。その後すぐヨーロッパのチームに呼ばれ、F1をめざしてユーロF3で練習走行するシーンで原作も終了する。この時点で2013年。
連載当初の2003年頃。F1は大人気でTV中継され、鈴鹿GPの入場者数も30万人を超えていたが、2008年のリーマンショック頃から減少に向かい、F1の地上波放送も2011年シーズンをもって終了した。若者は車離れし、レギュレーションの変更などでF1自体がつまらなくなり、日本ではF1は言わばマニアのものになった。時代は変わってしまった。
オープニングでカペタが乘る真っ赤なF1。カーナンバー27。2000年初期の甲高いエキゾースト。原作者の、そしてこのアニメに感動したファンの最高の夢だと思う。