鰺鱒 さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
1話はアニメにおける「カッコいい」の教科書。あとは。。
本レビュー、一度投稿→取り下げ→再投稿という順を経ています。
==取り下げについて {netabare}
京都アニメーションの事件について、改めて犠牲となった方々のご冥福をお祈りします。
以前この当稿を取り下げたのは、おそらく多くの皆様とは異なる、あるいは、逆の感情に基づくものでした。それは、「火災事件を受けて、放送を自粛し(その後、内容の改変を行っ)た」ことに対する僕なりの抗議でした。
表現者が犠牲となった事件に対し、「表現を取り下げる」ことで対応することを僕は今でも間違いだと思っています。
{/netabare}
==ではなんで再投稿か {netabare}
Best10に本作を入れたいのですが、レビューしていないとリストに入れられないから。点数だけでも良かったのでしょうけど、どうせならちゃんと書くべきことを書こうかと。
{/netabare}
ということで初稿の一部に手を加えたものから。
==アニメで「かっこいい」を表現したい者の教科書。
===時空間のコントラスト {netabare}
マガジン連載らしいということ以外、原作知らず。1、2話視聴段階での投下です。
第一話は、冒頭から末尾まで映像において《カッコいい》を
表現する技法をこれでもかと詰めこんだ教科書のようだ。
明と暗、動と静、騒と寂、密と粗。あらゆる場面、側面においてこれらの対比と、両極の間での遷移が意識されているように思う。画面という空間とその流れである時間の二面において、常に何らかのコントラストが維持され、対比を形作る両極の間を行き来している。これは音響・音楽も同様で、画面と見事に対応した時間方向の対比を作り続けていた。常に提示される時空間にわたるコントラストは、何度見ても痺れを感じる。脚本・セリフを含めて演出全体がこれにあたる。何についても、差分・変化を与え続けてくれる。実に見事。そしてマキさん。素敵。
結果、《とにかくカッコいい》
OPへの入り方、EDへのつなぎも含めて「かっこよさ」の面では完璧だったのではないだろうか。
{/netabare}
===素晴らしいOP&ED(1クール目){netabare}
OPは、曲、映像ともにトップクラスのOPと思う。
マキの走る姿だけでも観る価値がある。これほど「正面から走る」モーションがキマったアニメをほかに見た記憶がない。
作品の世界観を十分に表現しつつ、主要登場人物の紹介としても十二分に機能している。なにより、曲とのマッチ・ハマり方が申し分なく、曲自体も作品世界に通じるものが感じられる。
EDも、シスターのBackgroundというメッセージ性・物語性があり、映像そのものとしても見ていて飽きない。
{/netabare}
==観終わって:なんだこのかっこいいだけの普通作品は・・・
作品を通して、戦闘シーン、炎の描画は素晴らしかった。が。
===物語の停滞 {netabare}
もともとが少年誌掲載の漫画ということである程度は覚悟していたものの、お話が薄っぺらく感じられた。また、ギャグがお話の流れを寸断することが多く、特にタマキの「例の」特性はしらけるだけだった。少年誌的には、アリかつ必要なものなのかもしれないが。
キャラの性格・性質も薄っぺらく感じられてきたのは、無駄に間延びしているせいかもしれない。3話以降、物語の進展を伴う回はおよそ3分の1程度で、視聴意欲はOP映像と戦闘シーンを見たいがために維持されていたようなものだった。全体を通し、停滞感・間延び感が支配する、観ていてつらい作品となってしまった。海外の反応サイトでは人気のある作品なのですが、それがなかったら途中でやめていた可能性が高いです。
{/netabare}
===OP/ED変更・・・しかもダメにした {netabare}
後半のOP/EDは、登場人物が増えてきたせいもあって、変更は必要だったのかもしれない。が、それにしても・・であった。作画リソース8割減とも思えるほどに凡庸な、ただ登場人物が顔見世するだけの映像となってしまった。(曲が悪いのではなく)選曲もなぜこれを?という印象を受けた。これはEDも同様に思った。
{/netabare}
==全体として
アニメ的なカッコよさに関しては、無類の作品だと思う。しかし、物語を伝えるものとしては物足りないことこの上なしでした。