ニンニン さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ラストシーンの愛梨との出会いに関しての考察
みなさん概要については書かれているので私からはラストシーンの愛梨に関して書きたいと思います。
主人公悟は29歳になっても手に職つかず、いわゆる「ヒーローになれなかった大人」として物語はスタートします。
それには素の自分を隠して賢也や広美と付き合っていた悟の元の性格からも容易に想像できます。
そんなちゃんとした大人になれなかった彼にも、普通の人よりも少し心を寄せてフラットに接してくれた高校生の愛梨。それは人と関わることが苦手だった悟にとって新鮮で、心惹かれるものがあったと思います。
その後、彼に訪れる突然の母親の殺害の冤罪。突如彼は警察から追われる身になります。
しかし彼は最初、「一人」で全て解決しようと考えます。誰にも踏み込まず、誰にもかかわらず、一人で。
そこにバイクで現れた愛梨。
彼女は言います。
「悟さんがお母さんを殺すはずがない。私は悟さんを信じる。」
「『信じる』って言葉は、私を信じてほしいってことの裏返しなんだよ」と。
愛梨は、悟にとって「初めて自分を信じてくれた人」なんです。誰かの心に一歩踏み込んで、信じることを教えてくれた最初の人なんです。
だから彼はタイムスリップした後、お母さんや友人に心を開くことができます。今まで自分じゃない自分を装った悟から、嘘をつかない悟に変わっていきます。
そんな彼に変わっていったからこそ困難にぶつかった時、一人で抱え込まず、周りを信じて、頼ることができたのです。
そう、悟は愛梨のおかげで「正義のヒーロー」になれたのです。
全ての記憶を取り戻した悟にとって、「愛梨」こそが全ての運命を変えた最初の小さなきっかけ。
バタフライエフェクトをご存知でしょうか。
ある場所で舞った蝶の動きによる風の影響が地球の反対側で最終的に嵐を巻き起こすといったようなほんの些細な事がさまざまな要因を引き起こして後に非常に大きな事象の引き金に繋がるという考え方のこと、をいいます。
悟の幾度ものタイムスリップを通して変えた運命全体における愛梨の存在というのはバタフライエフェクトにおける「蝶」の役割を果たしていたのです。(だからこそ、最後のシーンで蝶が写っていたのだと思います)
そんな彼女に最後出会うラストシーンは、この物語における最後にして最高の山場であると思いますし、これを最後にした製作陣は本当に神がかっているなと感じました。
ちなみに私は、最後のシーンでのあの愛梨の笑顔、そして悟の心の奥から感情が込み上げてくるあの表情を見て走馬灯のように今までのストーリーが浮かび、涙を流してしまいました。
今年で22歳になりますが、最高のアニメに出会ったと思います。