稲葉姫子 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:----
悪に対する大人の見方
ネットフリックスで一気に見ました。
原作も漫画も知りません。このアニメだけの評価です。
悪の魅力にこれほど心を動かされるとは思いませんでした。
私はいままで、戦争を描いていても「善」であったり、心和むものを見てきました。
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
少女終末旅行
ソ・ラ・ノ・ヲ・ト
などです。
戦争を賛歌したり、戦争を好んでするものの対角線上に自分を置いていたのです。
ところがこの作品は「悪」が主役であり、「善」は悪の前に打ち負かされる存在です。いままでの私ならば、悪の主人公などとても自分に受け入れられるものではありません。と、ところがターニャ・デグレチャフ少佐には嫌悪感ではなく、親近感さえわくのです。「もっと殺してしまえ!」と。
我々は常にいい人間でありたい、優しい人でありたいという気持ちを持っています。仕事についても、営利とは別の次元でクライアントにはよくしてあげたいと思っているものです。でもこのアニメを見ていると、ターニャ・デグレチャフ少佐が私の耳元で囁いてきます。「クライアントなんてどうでもいい、我々がよければいいのだよ」
人が持っている悪の部分が、善の部分を平気で凌駕する危険性を持つアニメと言ったらいいすぎでしょうか。
ターニャ・デグレチャフの歌うEDの曲「 Los! Los! Los! 」を聞いたら、心を持ち直すために、Kalafina 「光の旋律」を聞く必要があります。