「どろろ(TVアニメ動画)」

総合得点
80.6
感想・評価
533
棚に入れた
2202
ランキング
452
★★★★☆ 3.8 (533)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

単なる伝奇バトルだけでなく

 原作や1969年のアニメは幾つか目にしたことはあるが、頭からちゃんと読んだり、視聴
したことはないぐらいの感じ。

 伝奇ものだが、全身が作り物の体を持つ少年が自身の体を取り戻していく展開や体に武器が
仕込まれた百鬼丸の身体的特徴など、基本的設定が目を引く。
 今でこそ、本作に影響を受けた後続の作品があるが、発表当時はかなり斬新な設定
だったのでは?。
 この体を取り戻していく展開だが、作り物の体は武器が仕込まれていたり、痛覚が
ないだろうと推測されることなどを考えると、体の部位を取り戻していくと、戦闘力という点では
むしろ弱体化していくように思える。まあ具体的に弱体化したようなシーンが無かったが。
 多くのバトルものが話が進むに連れて、強くなっていく展開の逆を行っていっているようで
面白い。
 また序盤における百鬼丸は精神的にも幼く、体を戻すだけでなく、それによって精神的
成長譚にもなっているのも面白いところ。

 基本的には百鬼丸とどろろのロードムービー的展開で進んでいくが、この二人を始め、途中で
出会うゲストキャラの多くも、乱世の非情さ理不尽さによる悲劇的境遇に見舞われた者が多く、
その時代の過酷さが印象に残る。
 百鬼丸が倒す鬼神などはある意味、乱世そのもののメタファーとも言えそう。

 中盤に百鬼丸が父の醍醐 景光と弟の多宝丸と出会い、以後は両者の争いがストーリーの主軸に
なってくる。
 醍醐親子にも自身の考える正義があり、それゆえに百鬼丸を殺そうとするが、「百鬼丸一人の
犠牲で領国全体が救えるなら」という考え方はトロッコ問題に代表される功利主義的なもので
なかなか興味深い。

 ロードムービー的面白さと、旅によって成長していく百鬼丸とどろろ、彼らが出会ったキャラの
様々な悲劇とそれでもたくましく生きていこうとする姿、百鬼丸と鬼神や醍醐らとのバトルに、
百鬼丸の出自による悲劇的ストーリー展開と、複合的な魅力があって飽きさせない。
 もっとも2クールの中盤には中だるみ感を感じたり、作画の乱れを感じることもあったけど。

 原作が未完だったこともあって、終盤はほぼオリジナルのようなもので、どうしようもなく
絶望的な感で進んだ割には、百鬼丸とどろろに関しては結構前向きな終わり方。
 この辺はシリーズ構成やメイン脚本の小林 靖子氏が見事だったんじゃないかと。
 もっとも時代背景を考えると、乱世はまだまだ続くわけで、先に関しては平和的な展開が想像
できないんだけど。

 キャストに関して、メインの百鬼丸役の鈴木 拡樹氏、どろろ役の鈴木 梨央氏のいずれも
いわゆる声優さんではないために視聴前は不安感があったが、いざ視聴すると杞憂に終わった
感じ。
 特に鈴木 梨央氏は年齢的にも役者として成長期に当たるのか、回を重ねるごとにうまくなって
いった感があった。

2019/07/15
2023/04/17 加筆・修正
2024/08/24 誤字修正

投稿 : 2024/08/24
閲覧 : 423
サンキュー:

7

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