ノリノリメガネ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 2.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
美しくも儚いアッシュの人生
今回アニメを見る前に原作漫画を一通り読んだのだけど、今でこそ日の目を見ることになった腐女子であるが、昔からこういう作品ってのがあったんだなぁと感心した。
時をこえてBL文化が広く一般に知れ渡るようになったので、この作品もアニメ化に至ることができたのかな、と。そう思うと感慨深いものを感じるね。
{netabare}
本作は原作をかなり忠実にアニメーションに起こしているわけで、原作がもともと秀逸な出来なので本作も良作となっている。
世界観が良く出来ていて、アメリカのストリートチルドレンやギャング、マフィアをよく取材しないとこんな作品描けないと思うので、作者の努力が感じられる作品だと思う。
細かい取材に裏打ちされたリアリティのある殺伐とした世界で生きるアッシュの悲痛な運命とエイジとの絆が描かれている。
キャラクターも皆人間臭くて魅力的である。
アッシュは美しくも不安定。ゴルツィネも変態くそジジイなんだけど、アッシュに対する父性みたいなものを感じるし、ユエルンのアッシュに対する憧れとエイジへの憎悪、オーサーの嫉妬心など、人間の多面的なぐちゃぐちゃな感情みたいなものが随所から感じられた。
とにかくアッシュがかわいそう。天才ゆえに力ある者に利用され、権力闘争の中心に据えられ、手を汚さないと生きていけない世界に否応なく投じられた。その人生の中で唯一エイジだけはアッシュをひとりの人間として扱ってくれるので、エイジと過ごすときだけ安息を感じている。しかし、エイジが危険な目に会うのを守るためにボロボロになっていくのがただただ切なく、胸締め付けられた。
最期のアッシュの表情が幸せそうだったのがせめてもの救いか。
{/netabare}