退会済のユーザー さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
注意:原作読了は必須。自分の眼で見て世界を知る冒険譚
最近、「なろう系」出身のタイトルが長い作品を視聴して頭が痛くなっていた頃に、
私の好きなSFジャンルものが始まったので迷わず視聴。
内容としては面白いですが、原作を読まないと理解し辛いシーンもあり、原作読了は
必須だと感じました。
≪1話≫
{netabare}
学校のキャンプ(惑星)へ出発し、無事惑星探索をすることになりますが、
SFあるあるの「勝手な行動をする迷惑なメンバー」が1話から出てきましたw
カーブラックホール?的なものが急に目の前に現れ、メンバーの一人が不用意に触れ
た瞬間に、吸い込まれ宇宙空間に飛ばされることに。
主人公が吸い込まれたときに、空間の歪みや縮んだ演出があることから、「ブラック
ホール」の作用がある何か?に巻き込まれたのは間違いなさそう。
その後、生徒の眼が覚めた時は、宇宙空間に放り出された状態で、たまたま近くに無
人の宇宙船があるという王道設定。
そして救助を求めようとしたが、5012光年も飛ばされたことが判明。
この瞬間に、「宇宙漂流」が確定したなと感じました。
≪感想≫
ありふれた設定ではありますが、最近の「なろう系」作品の酷さに頭が痛くなってい
たので、普通に視聴できそうで何より^^
これから、漂流先の惑星で永住することになるのか。はたまた、「ブラックホール」
的なものに飛び込み、出口のホワイトホールから元の宇宙に帰れるのか? 次回以降
のストーリー展開に期待ですね。
{/netabare}
≪2話≫
{netabare}
冒頭から、漂流している緊張感が皆無という珍しい空気から始まりました。
まあ、某ハリウッド映画のSFものでも、緊張状態が長時間続くと精神がHighになるそ
うなので^^; そのように受け止めるしかないですねw
その後何とか人が住めそうな惑星に辿り着いたようで、食料?を集めるわけですが、
「確認なしに、いきなり口に入れる」といったあまりにも危険な行為が横行。
実際の宇宙旅行なら、確実に死にますねw まあ、フィクション・作り物だと思えば
・・・。そして謎の「ブラックホール?」的なものには追われているようです。
最後には、お約束の「裏切り者」の存在を匂わせる展開が。これも「エイリアンシリ
ーズ」の映画でもあるあるの設定です。
2話に関しても「あるあるの王道」設定のストーリー展開ですが、完全にフィクショ
ンとして割り切れば面白いですね。
ただ、初対面の人間同士が宇宙漂流して、食料の奪い合いやリーダーの横暴・ギクシ
ャクした空気に成らないのは、作者側の意図なのかは謎のままでした^^;
{/netabare}
≪3話≫
{netabare}
カナタ目線でのメンバー観察会。アリエスって「オッドアイ」だったんですね。観察
目的は、前回からの「裏切り者・犯人捜し」の続きです。
ただ、メンバーの性格はバラバラで初対面だと、どうしてもギクシャクするのでは?
と疑問が残ります。
その後、雑談中にフニが聞いた児童相談所の話が出てきて「B5班に入れて一斉殺処分
」というワードが出てきました…。
どうやら殺人計画が裏で動いているようです。
キトリーがヒステリーを起こして「この中に犯人が??」と騒ぎ始めたときに、アリ
エスの腹の虫で鎮静化。←ちょっと無理がないですか???
キトリーも食事を始めたら、リラックスした状態に落ち着いています。逃げ場が無く
、閉鎖された空間での殺人等、とてつもない恐怖でしょう。この状況で落ち着いて食
事が取れる雰囲気に違和感があります。
その後も、宇宙からの飛来物「今回は小石」が衝突しウォーターサーバーが爆発。空
気漏れも発生し、重力制御装置にも異常が…
ここでもビックリするのが、誰ひとり「パニックを起こさない」ことです。
これが宇宙飛行士によるサバイバルなら納得です。しかし、彼らは「学生」で宇宙訓
練をしているとは思えません。
作者的には「全てが予定調和」として脚本を書いているからでしょうか…
「毒物か確認無しに物を口に入れる」「未知の惑星に降りても足元の注意が散漫」と
登場人物の危機管理の無さが目立ちます。作者はSFに関しては素人なのかも知れませ
ん。
≪感想≫
何というか、登場人物の危機管理の無さが目立ちます。特にこれだけの状況でギャグ
的な展開が多い事に違和感を覚えます。見ていて感じたのは、「この作品でのSFはメ
インでは無いのかも」という事です。
作者がSFに関して「素人」なのかも知れません。謎解き要素が多い作品では、視聴者
が理解できさえすれば「小難しい設定など適当でも良いんじゃない」といってしまう
作品もあり
SFはあくまでもオマケ要素で、作者は別に「何か別に伝えたい事がある」ように思え
ました。ミステリー要素が強いので、恐らく最後にネタばらしがあるでしょう。
{/netabare}
≪4話≫
{netabare}
ここへ来て今作は「遭難=探訪」という感覚で見る方が面白いと思いました。カナタ
から「犯人捜し禁止」という大きな一言。此処へ来てまさかの展開…。宇宙船が墜落
・航行不能=死の状況でこの選択肢は無いです。
次の惑星に移動してからも、キトリも食べ物に関して文句が言える程、ヒステリーを
起こす緊張状態から脱している…。良く分かりません。修学旅行感覚が抜けきらない
のはなぜなんでしょうか??
その後、ユンファが「この惑星に残る」と言い残し宇宙船から出るイベント。ここへ
来て「勝手な行動を取るキャラ」が出てきました。
気になったのがユンファの回想シーン。何か登場人物の親がクズという印象が…。
その後、ポールツリーからの「毒の胞子」により全滅の危機に。解毒キノコにより回
復する展開になりましたが…、何か展開が小走りでした^^;
肝心の「薬キノコ」もポールツリーの意思によって生えてくる…。←謎の理由でした
。ユンファの歌に励まされて、窮地を乗り切る「マクロス」の理論ですね。これも勢
い重視の考えなのでしょうか??
各話の最終で展開が走り気味になる原因も、もしかすると尺の都合でカットされた?
?何か嫌な予感です。キャラクターの緊張感が無く、ギャグパートが目立つのも、尺
の都合でシリアス場面がカットされている気がしました。
≪感想≫
理屈<情熱・勢い の作品だと確信しました。コアなSFファンの方には向かない作品
ですね。展開が一部省略されている点は気になりますが、まだ視聴できるレベルでし
た。こんなコメントを出す理由は、最近悪目立ちしている「小説家になろう」作品の
不出来さが影響してます。私の中で「面白い」の敷居が低くなっているだけです^^;
{/netabare}
≪5話≫
{netabare}
薬キノコにより、全員が回復したところからスタート。ユンファが髪を切って印象が
凄く明るくなりました。全員少しずつ前向きな気持ち「ポジティブ思考」になってき
ています。トラブルを乗り越える度に、メンバー同士の距離も縮まって面白くなって
きました。
※ただし「展開が少し早め」「SF要素は気にしない」ことは必要ですね。
5話になって、母星の保護者の状況が出てきましたが、「アリエス」の親以外の様子
が明らかにおかしい。もう、これはこいつらが黒幕じゃないのか?と感じました。話
の流れで「生死不明→死亡」扱いにすることが決定されましたが、自分の子供が死ん
だというのに悲しんでいない事から「異常」という文字しか頭に出てきません。
また、遭難中のメンバー視点に変わってビックリ。普通に惑星で水着で水遊び…危機
感がゼロ。と思いきや、終盤でウルガーがルカに銃を突き付けて終わる展開に。もし
かして黒幕が登場か…
≪感想≫
明らかな「尺不足」を感じます。ギャグとシリアスを混ぜることに否定はしませんが
、喜怒哀楽が激しい展開に疑問が残りますね。
何というか、どうしてもキャラクターの感情が軽く見えてしまいます。ただ、伏線が
全然回収されていないので、もう少し話が進めば評価も変わるのかもしれません。
{/netabare}
≪6話≫
{netabare}
序盤からウルガーが刺客であることを否定。6話まで来てようやく、ルカとウルガー
の過去が明らかに。まあ、前回の保護者の屑っぷりな態度を見て想像は出来ていまし
たが、この2人も親との仲は悪く親子とは呼べない関係でした。
ウルガーは父親から軽蔑され、兄だけが寄り添える家族だったが、ルカの父親が原因
で兄が自殺。その後「ルカの父親に復讐するため」だけに銃の訓練をしていた。
ルカも同じく父親には愛されず、更には養子だと判明。しかも「性同一障害」である
ことを告白。
いきなりのシリアス展開ですが、「親からの愛情がない」というメンバーの共通点が
見えてきました。
その後、大きな地震の後の大津波。ちょっと都合が良すぎる展開が気になりましたが
、今までと同じような急展開でした。
ウルガーとルカは津波に流されてしまいますが、頭に銃を突きつけられてもルカはウ
ルガーを助けようと踏ん張ります。カナタも進んでウルガーを助けました。
船で脱出した後、ルカとウルガーが和解。その後、メンバー同士で秘密を打ち明ける
までに関係が良くなりました。やはり尺を飛ばしている感はあります^^;
そして終盤、今度はシャルスに関する疑惑が出てきて終わりですね。
≪感想≫
今回も凄い勢いで話が進みました。「尺不足」がますます目立ってきました。なんと
いうか「ダイジェスト」を見ている感じです。
とにかく「必要最低限な情報を詰め込んでみました」という展開なので、キャラへの
感情移入は今のところし辛いです。
{/netabare}
≪7話≫
{netabare}
アリエスから「シャルスを授業で見た覚えがない」という発言からスタート。ここで
シャルスが「自身が転校生」であることを告白。しかもキャンプの直前に転校してき
たという怪しさ。
ここで、シャルスの過去を話すようにメンバーが強要。しかも話さないと「監禁」と
言い始めて困惑。本当に喜怒哀楽の激しい展開です…
この7話でシャルスの過去が明らかになりました。シャルスはヴィクシア王政地区出
身の貴族だと告白。幼馴染のセイラという女の子との思い出も出てきました。何か映
像を見るからに「アリエス」じゃないの? 2人は無関係ではなさそう。
その後、セイラは事故により意識を失い、シャルスも父親と揉めてヴィクシアを去っ
たという…。
話の後、皆は号泣しシャルスへの疑いは無くなりましたが、やはり「そんな簡単に信
じていいのか?」という疑問は残りました。
そのままシャルスへの問い詰めは無くなり、次の惑星へ向かう展開へ。しかも、「自
転していない」という珍しいタイプの惑星。これも自転が止まり温度差が激しいとの
説明がありましたが、天文学に詳しい人間でもない限り「良く分からんがなるほど?
」といった感じになるでしょう。
その後、謎の生物の妨害に遭い、アストラ号が不時着して航行不能に…。このとき、
「反応炉」が破損して治せなくなったようです。まあ、普通はこうなります。予備の
部品も無い状態なら、何処か一か所でも壊れたらお終いです。
キトリーがヒステリーを起こしたものの、他のメンバーは平静を装い探索開始。ここ
で、いきなりのご都合展開が発生し、経年劣化でボロボロになった「アストラ号?」
を発見。よくもまあ都合よく同型の船が出てくるとは思いましたが、そこはスルーで
すね。
最後に「人工冬眠装置」でSOSを出していた女性宇宙飛行士が発見されて終わり。
≪感想≫
「走り過ぎ!」の一言に尽きます。尺が足りないにしてもやり過ぎですね。SF要素が
軽い事を念頭に置いて見たとしても、原作を知らないと分からないレベルまで来てい
ます。
特に、航行不能と判明してから、わずか数分で宇宙船が見つかるので「都合が良すぎ
ません?」としか言いようが無くなりました。
{/netabare}
≪8話≫
{netabare}
宇宙飛行士が目覚めて、「ポリーナ=リヴィンスカヤ」と名乗る。「ロシア人?」と
いうことは地球人?というか言語が通じたのが、都合が良すぎるなぁ…。
ポリーナさんからの話が続き、彼女は人類が住める惑星調査の為、このアーク号に乗
ってきたとの説明が出てきました。
その後、カナタ達の船も不時着して動けないと知り、ポリーナさんが失神。
そしてアーク号を調べている内に、アーク号とアストラ号のブロックを切り離し、無
傷なブロックをドッキングすれば直せると判明。ドッキングは完了し飛べるようにな
りましたが、アーク号の経年劣化はどうなんだ…?
私:「もう突っ込まないぞ…」
此処でポリーナさんの意識が戻り、12年の歳月が流れたことを知りパニックを起こし
ます。何かありそうですね…。
その後いつもの食糧探しに入りましたが、いきなりザックがキトリーに告白。「え?
」と空いた口が塞がりませんね。この2人、幼馴染くらいしか情報が無かったのに^^;
しかも、サラッと流されてすぐ船で探索に向かいます。どうやらポリーナさんが行き
たい場所があるようです。行方不明になった仲間が向かった場所で、探査用の車が残
骸で見つかり嫌な予感。
すぐに地面から植物が出てきてピンチな状況に。仲間の遺品を回収するためにカナタ
が高跳び。彼がアスリートだという情報が出てきましたね。
惑星から脱出した後はパーティーの流れで、「キトリーとフニが似すぎている」と疑
問が出てDNA検査をすることになります。
そしてお決まりの超展開、キトリーとフニが「同一人物」というザックからの爆弾発
言で終わり。
≪感想≫
情報が多すぎて理解が追い付かない…。「ポリーナさんの過去」「宇宙船の修理」「
ザックの告白」「キトリーとフニが同一人物」の情報が20分そこらでの展開で一気に
放出。完全にぽかーんな状態です。
これ、原作読まないと理解できないです。見視聴な方、原作漫画を読んでから見てく
ださい。
{/netabare}
≪9話≫
{netabare}
カナタの回想から始まりますが、あまり大きな情報はなし。前回の続きで、ザックか
ら「キトリーとフニが同一人物」という爆弾発言が全員に開示されます。
そして、カナタとザックの意見から「全員が親のクローン」という事実が発覚。いき
なりの倫理問題が出てきてビックリ。
ここでザックの推理が始まり、ザックの父親が記憶移植の研究をし、キトリーの母親
の病院、ウルガーの父親が学校の教頭…
保護者の関係性が全て明らかになりました。それにしても、あまりにもゲスな保護者
集団です。
すぐに保護者視点に切り替わりますが、ザックの推理通り、ザックの父親の理論を元
に、親自身が若返る為だけに自身の分身を育てていたという。ここで、「ゲノム管理
法」という法律の制定により計画が流れたとの情報も。
簡潔にまとめると、
①ザックの父親が記憶移植技術を発明。条件は「移植元と移植後の肉体のDNAは一致
していないといけない」
②若返りの為に、親たちは「自分のクローンを違法に作り育てた」
③肉体を乗り換える前に「ゲノム管理法」が制定される。悪事がバレるので、計画は
白紙へ。
④証拠隠滅の為、「子供全員を遠くの宇宙空間へ放りだし抹殺する計画」が実行され
た。
となります。
真実を確信し泣き崩れた後、カナタの「捨てられたクローンがどうした?」「俺たち
は家族だ」の言葉で、無事に帰る為に団結する流れになりますが、裏切り者の刺客に
ついては秘密のまま。何というか、全員割り切りが早すぎというか、そんなアッサリ
平静が保てるのか疑問です。
その後パーティーの流れになりましたが、ザックとキトリーが結婚するという事実を
告白。ザックの無表情+恥ずかしい発言の組み合わせは「気持ち悪い」の一言。
パーティーの後、「故郷」と言われた惑星が出てきて物語終盤の予感。ポリーナさん
が惑星を見た瞬間、違和感。「あれ、地球じゃない…」。そういえば、今まで一言も
地球と言ってない気が…
カナタ:「チキュウって何だ?」
ポリーナ:「あれが地球じゃなければ何?」
カナタ:「分かり切ってるだろう。惑星:アストラ」
爆弾発言が多すぎな回で理解が追い付かない…。
≪感想≫
「原作を読んでから見てください」としか言えません。20分弱の間に爆弾発言が連発
され、頭の整理が追い付きませんw
今の展開から、
①:ポリーナさんとカナタ達が居た星が異なる。
②:惑星アストラと地球で使われている言語がなぜか同じ。
③:ポリーナさんは人類が住める惑星探索に向かう途中でコールドスリープに入った
。
④:ポリーナさんが西暦を尋ねた時にビックリしていた。何も起きていないのか…
という情報が出てます。まあ、これだけヒントがあれば謎は解けますね。
追記:9話を見た後、すぐにコミックを全巻購入して読了しました。
{/netabare}
≪10話≫
{netabare}
コミック全巻読了済の上でのレビューになります。流石に、原作を読まないと分かり
にくい点がいくつかあったので…。
カナタ達の母星は「アストラ」であり、ポリ姉の母星「地球」では無かったという事
実から始まります。
アストラと地球で「英語」が使われている事実。大陸の違い、歴史の食い違い等いろ
いろと判明していくことに。
ビックリした事に、アストラでは歴史を教育することに消極的で、地球と同じ「西暦
」であるにも関わらず、「キューバ危機」が「第3次世界大戦」にすり替わっていて
歴史が意図的に書き換えられている可能性も。
ポリ姉の説明で、隕石衝突による絶滅に瀕した地球を出るため、「人工ワームホール
」が使われたとのこと。これもカナタ達が吸い込まれた球体で間違いないと。推測か
ら、ポリ姉の地球が滅亡し、カナタ達が住んでいるアストラに移住したことが導きだ
されました。
※地球はカナタがワームホールで放りだされた時に見た「氷の惑星」
ただ、やはり地球の歴史とアストラの歴史に大きなズレが出ているので、大人達によ
る「改竄」があるのでは?という話になる。
最後の惑星に着き、もう少しで帰れると思った矢先、刺客がワームホールを出しカナ
タが襲われる事態に。しかし、カナタには犯人が分かっていたようです。
「シャルス」が刺客でかつ、ヴィクシア王という事実が判明し次回へ。
≪感想≫
コミックを全巻読んでいたので、展開が多少スキップしていても何とか理解できまし
た。やはり、「圧倒的な尺不足がある」と言わざるを得ません。
色々と大きな問題がカナタ達に降りかかってくるので、視聴者が十分に納得するには
、犯行の説明とカナタ達の動きに合わせて、アストラでの犯人側の動きをもっと描写
しないと分かり辛い印象を受けました。
原作は良く出来ていると思いました。アニメではカットされた部分も多いので、完全
にアニメ制作側の尺の問題だと思います。
「鋼の錬金術師」等を見れば分かる事ですが、シリアスパートとギャグパートのバラ
ンスは重要です。無理やりぶち込んでも話のテンポが悪くなって、余計に分かり辛い
話になってしまうので^^; この辺りはメリハリが大事なのかも知れません。
序盤にギャグを入れ過ぎた当作では、中盤からのシリアスパートが薄っぺらく感じて
しまって、キャラの心情や意図があまり伝わってこない気がしてなりません。
{/netabare}
≪11話≫
{netabare}
シャルスが刺客で王族のクローンだと判明し、いよいよクライマックスに近づいてき
ました。
シャルスの回想が始まり、自身の運命を知らされた上、王の言いなりで生きてきた事
。アリエスは王女「セイラ」のクローンであることが明らかに。
歪んだ人生を歩んできたシャルスからは「素晴らしい人生だった!」という衝撃の発
言も。
カナタ達からも「そんな生き方は間違っている!」と返しますが、シャルスは「変わ
れない。そういう場所で育った」と揉めるシーンも。
話の最後に人工ワームホールが表れ、飲まれそうになったシャルスを助けたカナタは
、ワームホールに片腕を飲まれてしまい腕を失う結果に。
≪感想≫
終盤なので、ようやくシリアスシーンだけになりました。シャルスが全てを告白した
事で誰かに襲撃を受けることは無くなったわけですが、やはり疑問が残りますね。
①:恐怖・緊張感が伝わってこない。
「エイリアン」「スターウォーズ」等を見れば分かると思いますが、宇宙船の中は、
凄く閉鎖的な環境であることは事実です。
その上、「何かトラブル1つ起こるだけで死ぬかも知れない」という極限状態で生活
を強いられるので、「ヒステリーを起こす」「恐怖のあまり廃人になる」ケースなど
普通にあり得ます。特に、終盤まで刺客が分からない今作は、ギャグ一つで仲間の平
静を保っているイメージが強かったですね。
②:クローンや価値観等、デリケートな問題について
此処が一番の問題かも知れませんが、少し話し合った程度では解決しない問題が、カ
ナタの一言で綺麗事のごとく片付いてしまう点。
ガンダム等の作品では、「人種・倫理・価値観」については、最後まで相容れない関
係の人物がいます。
今作は「勢いと情熱」という感情論で進んでいくタイプの作品なので、疑問点として
残ってしまう視聴者が多いかもしれませんね。
{/netabare}
≪最終話≫
{netabare}
とうとう最終話。コミックを読破していたので尺不足が心配でしたが、1時間分の尺
があったので安心。
シャルスから「アストラ」の真の歴史について語られました。強引に年号を100年撒
き戻すという大胆な改竄があったにも関わらず、第一世代の大人は誰一人として子供
に真実を伝えなかった。
その理由は、地球からアストラへの移住先の領土を奪い合った戦争が起こり、全人類
の半分が失われてしまったこと。移住に使うはずの「人工ワームホール」を殺戮の兵
器にしてしまった後悔が大きかったこと。
祖先の「真の平和を実現したい」という願望から、西暦2063年に「言語の統一」「宗
教の廃止」「ワームホール技術を含む武器の廃止」が決定。この年に世界統一政府が発足し、現在までの歴史に至るという真実でした。
しかし、こんな重大な秘密を知った今、惑星アストラに到着しても自身らの暗殺や事
実の隠蔽を心配するメンバー達。
そこでアリエスの母に事情を報告し、ウルガーの兄が刑事時代に仲が良かった「グレ
ース警部」に助力を求めることで解決。
グレース警部の迅速な対応で、鬼畜保護者は逮捕され、メンバーは無事にアストラに
帰還。ヴィクス王、その他鬼畜保護者の逮捕シーンもあったが、あまりにもアッサリしていて笑うしかない展開に。
逮捕された後の話は、ウルガーが牢獄の父親に会いに行くシーンだけで、「死んだのが兄でなくお前なら良かった」と反省すらしていない一言には驚愕でしたw
帰還したカナタは記者会見の後、「真実」を世界に公表するように訴え全世界に歴史改竄の事実が知れ渡ります。まあ、戦争にでもなるような感じはしましたが、
カナタが執筆した本「アストラ号の冒険」により、事態は丸く収まる結果に^^;
騒動が収まった後、無事にケアード高校を卒業。メンバーはそれぞれ人生を歩む。
≪感想≫
最後は飛ばし気味でコミック通り進めようとしていましたね^^; やはり1クールでは内容を纏めるだけで精一杯な感じでした。
アニメ自体は序盤の「駆け足が過ぎる展開」「ギャグとシリアスのバランス」に問題がありました。
終盤では、伏線を上手く回収しつつ、ある程度納得の行く最後に纏められていました。
しかしながら、「クローン」「戦争」「歴史改竄」等、1つのテーマだけで分厚い本になりそうな内容が詰め込まれているのは事実。気になる人には「え?そんなアッサリでいいのか?」とツッコミが入るかもしれません。
この作品を見ていて「この作品の主体は本当にSFなのか?」と気になっていましたが、終盤でモヤモヤも吹き飛びました。
私の私見ですが、この作品の「SF」はあくまでも体裁を整えるためのもの。作者は「自身の眼で見て見聞を広める」「生まれや育ちに関係なく人は変われる」と言いたかったんだと気づきました。
印象に残ったのは
アリエスの言葉「そういう風に育ったからそうなった」→「自分の眼で世界を見て考えて、本当の自分になる」
でしょうか。SFよりも人間の内面にスポットを当てた描写が多く、「遭難によるサバイバル」ではなく「困難を乗り越えてアストラへ向かう冒険譚」と言われれば納得でした。
特に「彼方のアストラ」というタイトルにも色々仕掛けがしてあったので面白いと思いますね。いわゆる「叙述トリック」が使われていて、どんでん返し的な展開が多くて飽きが無くて高評価でした。
序盤:「カナタのアストラ号」
終盤:「地球から彼方の惑星アストラ」
とタイトルの意味を考えると「なるほど!」と思える程、ストーリーも考えれています。
序盤では、SFっぽいけど何か足りないという印象でしたが、徐々にSFがメインでは無いと感じてからは面白かったですね。しかし、アニメの尺としては2クールが良かった気がします。これは大人の都合なので作品に非はありません。色々と不満は言いましたが、今期ではかなり面白い部類に入ると思います!
{/netabare}