シワーる さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
寓話の魔術
開発によってすみかを追われる狸たちが、それを阻止する戦いの話。
私はこの作品が大好きで傑作だと信じています。しかしその理由を書こうとすると言葉に詰まってしまう。
一つの魅力として、多面的な描き方で、一義的な解釈をゆるさない点があるとおもいます。闘争で人に犠牲が出たから追悼の意をしめそう、としながらも思わず大笑いしてしまう。どんなに高らかな目的をかかげても、人は(狸は)聖人君子ではない。
狸たちにはたしかに理があるが、その戦いは太平洋戦争になぞらえていたりする。つまり無謀ということですね。
時代の流れには逆らえない、という観念が作品の奥底にあるのではないでしょうか。どれだけ狸たちが化けても、科学文明にある現代日本人にはほとんど効果がない。狸たちがみせる幻想にたいしても、人間たちは合理的な説明をあたえてしまう。
騎士道精神がとっくに過去のものとなったのに、騎士道を貫こうとしたために時代遅れの道化となったドン・キホーテに通じるものを感じます。
古今亭志ん朝のナレーションも良い。