シャベール大佐 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
観るものにいろいろ考えさせる、ダークファンタジー風の戦国時代劇
手塚治虫の漫画を原作とした、ダークファンタジー風の戦国時代劇。全24話。
実の父親が国の繁栄を鬼神に願ったため、引き換えに身体を奪われた少年・百鬼丸と、百鬼丸を「あにき」と呼んで慕う孤児・どろろの2人が主人公。彼らが旅をしながら鬼神を倒していき、奪われた身体を取り戻していく、みたいな感じで物語は進みます。
作品の前半部分は、旅先で出会う人たちのドラマと絡めながら、百鬼丸が鬼神を倒していく様子を1~2話完結で描いていますが、戦で親を亡くした子供らの面倒を見ている少女の話や、蜘蛛の妖怪の話など、心に残るエピソードが多くあり、非常に面白かったです。一方、後半になってストーリーのまとめに入っていくと、なんだかあまり感情移入できない話が多くなって、ちょっと失速してしまったという印象は否めませんでした。この作品では、図式的に必ずしも百鬼丸が正義というわけではなく、善と悪に曖昧な部分がありますが、それは物語に深みをあたえ、観るものに考えさせるという効果があると同時に、すっきりした結末を難しくするというデメリットもあったようです。問題としては面白いけれど誰もが納得できる正解がないのでは、終盤の失速も必然だったかもしれません。
作画は、ときどき気になる部分もありましたが、全体的には良好の部類。音楽は、OP、EDとも、1クール目のほうが良かったです。
最後まで観終わって、普通に楽しめました。前半が素晴らしいので、後半に尻すぼみ感はありましたが、それでも観る価値はある作品だったと思います。