Jun さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
宇宙人難民とおもしろおかしく暮らせた古き良き20世紀
赤字続きの郊外銭湯が舞台の中心です。主人公がまじめな予備校生で、300円で二人分の晩御飯を調達しないといけないレベルの生活の日常が中心の話。二次元いっぱいに質素な20世紀日本の郊外が描きこまれています。
自由で前向きにしか生きられない宇宙人難民(ー7等級)が当局や役所では“現実”には存在しないとされているように、こんな清楚な人たちも現実にはあの当時から存在しなかったんじゃないかと思う。思い出の中の架空の、あの時代を抽出したような空気感。
生活に明け暮れ、将来何をしたかったも忘れ、いつか全てが失われてしまうであろう主人公の喪失感。そしてその対極にある難民宇宙人の“自由”。「さようなら」と聞く耳を持つものだけに告げて霧散する、宇宙人の母船。
あの時代の後、全てが変わってしまった後、この3次元いっぱいにあふれている喪失感と自由を確認できる稀有の作品でした。