森可成 さんの感想・評価

4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

美しきユートピア

「なんでここに先生が！？」は
ユートピアを描いた作品であります。

ユートピアとはギリシア語で
「存在しない場所」を指す言葉ですが
トマス=モアがそれを用いて
「理想郷」という現在に通じる意味を
持たせたのであります。

高校生が美人先生とイチャコラという
のは正に夢のようなシチュエーション
といえましょう。

さらに言えば、所謂姉属性、
妹属性を共に満たしているのも
ユートピアとして見逃せません。
歳上で先生というポジション
でありながら、
松風先生に顕著なようにウブで乙女
なところに保護欲を掻き立てられる
のであります。
大変あざといのでありますが、
私も一男児として「最高だな！」
と思わざるを得ません。

生徒と教師の恋愛というのは、
どうしても職業倫理が前に来てしまい、
タブー視されます。
「高校教師」とか「魔女の条件」とか
…我ながら例が古くてガックリきますが、
周りから理解されない愛というものが
大きなテーマになっているので
あります。

「なんでここに先生が！？」においては
そんな要素は、ほぼ皆無であります。
児島先生と鈴木くんに至っては
鈴木くん=生徒の親が積極的に
付き合うことを後押ししています。

また実際に付き合いだすのは
卒業以降なのでしょうが、
それまで教師と一生徒という立場を
ある程度堅持していたのは
立花先生と田中くんだけでしょう。

恋愛が優先される世界なのです。
ここがまたユートピアたる由縁
なのであります。

私は恋愛について然程高い
倫理感を持った人間ではありません。
不倫はしない方がいいよね、
くらいの感覚であります。

そんな人間からして見ると
「なんでここに先生が！？」の
内容は、たゆたゆ過ぎる以外、
全く問題ないと思うのであります。

だってお互い真剣に好きなんでしょ
ならいいじゃん、という感じであります。

しかし世の中には色々な意見がある訳で
そういった点を鑑みると、
「なんでここに先生が！？」は
残念ながら、ユートピアを
描いた作品と思わざるを得ません。

え？男女逆転していたら？
…うーん、
ちょっとエグいなぁ、
うちの娘がそうなったら、
キレるなぁ…

やっぱりユートピアのままで良い
ということにしておきましょう。