退会済のユーザー さんの感想・評価
4.1
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
もっと評価されて欲しい作品
ずいぶん前の作品ですが、最近になって視聴しなおしたのでレビュー。
自分の周りのアニメ好きにもあまり知れ渡ってない作品ですが、「もっと評価されるべき作品」だと思っています。
当作品は「お金」「株取引」をメインにした珍しいジャンルで、世の中には「普通のお金」と「黒いお金」の2種類が存在する変わった世界です。
{netabare}
≪世界観と設定≫
「普通のお金」は全ての人間に見えていますが、「黒いお金」はある特別な人間「アントレ」にしか見えません。
このアントレは、突然現れた悪魔「マサカキ」により選ばれ、黒いお金「ミダスマネー」の取引場「金融街」を行き来する人間です。
このときに「ミダスカード」いわゆるキャッシュカードを貰え、何処のATMでも自由にお金が引き出せる便利なカード。自身の資産に応じてカードのランクが上がるシステムもあります。
金融街で運用されているミダスマネーは、悪魔から借り入れたものですが、借りる為の担保になっているのが「自身の未来」というとんでもないもの。
実際の株取引のように、負債を抱えれば破産することになりますが、この世界では「破産=自身の未来全てを失う」という事になります。
普通に考えれば、「破産=死」とほぼ同義です。実際に、1話冒頭に出てきたアントレは破産した後に現実の世界で「自殺」しています。
またアントレは、定期的に「ディール」というお金を使ったバトルを強いられ、負けたアントレには負債が発生するので
そのたびに負債額に応じて「現実世界」に悪影響が出ます。この悪影響が日本経済を大きく揺るがす事件に発展します。
≪ディールについて≫
この作品で一番注目されるのが、アントレ同士が「資産の奪い合い」を行う「ディール」です。
先程書いたとおり、負けた一方は必ず現実世界で悪影響が出てしまいます。もし、大企業の社長や大物政治家等が破産してしまうと、現実世界には大きな悪影響が生まれます。
悪影響にも様々で「本人の死亡」「企業の倒産」「経済そのものの悪化」等、実際に何が起こるか分かりません。
「ディール」はこの通り、株取引同様にリスクを伴うので「できるだけやらない」傾向がありますが、自身からディールをアントレに申し込むことも可能です。
ディールでは「アセット」と呼ばれる自身に関わるものが具現化した資産と戦います。
≪C≫
この作品の目玉となる現象です。市場資金がマイナスになり、いわゆる「市場閉鎖」になった時に起こる現象。
「未来を担保」としているため、市場閉鎖された金融街のある都市は「存在自体が消滅」し、はじめから無かったことにされてしまいます。
今作では、カリブ・シンガポールが現実世界から消えてしまいます。
この「C」の怖いところは、破産した国が消えて終わらないこと。現実世界では、その国と金融取引している世界中の国にも悪影響が出ます。
負債は誰かが支払うこととなり、その負債は「その人・国民の未来」というとんでもないものです。実際に「C」の影響が出た日本では、突然人が消えたり、国の経済レベルが1980年代に逆戻りする等と様々。
≪お金とは何か?を問われる≫
この作品では「お金とは何か?」というものを問われます。特に「お金は誰の為に使うのか?」ということに焦点を当てたストーリーが展開されます。
「自身の為」「家族の為」「国民を守る為」といった様々な問題を抱えたアントレがディールを通じて資産を奪い合いをします。
しかし、「ミダスマネー」の担保になっているものは「自身の未来」という莫大なもの。
実際に「C」に襲われたときに、Cによる負債を払うためには「お金」が必要。払えなければ「国民の存在・日本経済」が危機に晒されることに。
アントレの持つ「ミダスカード」の等級で最高ランクを持つものには、ミダスマネーを発行する「輪転機」を回し、好きな金額を引き出す権利が与えられます。
しかし、その代償は計り知れず「その人物の人生の半分」を担保にする必要があります。
常に「お金と自身の未来」を天秤に掛けた状況に追い込まれていく世界ですね^^;
≪未来を担保にすること≫
物語最終では、金融街を牛耳る「三國 壮一郎」により、輪転機から大量のミダスマネーが引き出されます。
日本に迫る「C」の影響を最小限に抑える為、簡潔に言えば「現在の日本・今いる人々を守る為」に日本の未来を犠牲にする行為です。
「C」の影響により日本の経済はボロボロで、国の出生数が100人以下になる異常事態。日本そのものが崩壊する危機に陥ります。
このときに、今を守る為に「未来を担保にすること」にそこまで意味があるのか?
「未来を得るには今を守らなければならない」とする「三國 壮一郎」と
「今を守っても絶望ある未来しか無いんじゃ意味がない」とする主人公「余賀 公麿」
の執念のぶつかり合いは実に興味深いものでした。
≪感想≫
テーマが「お金」という大人向けの作品ですが、実に面白い内容で「お金」を中心に、周りの人間・経済・国の運命が大きく変わるという、今までに無かった世界観を持った作品です。
特に、「今さえ良ければ未来がどうなろうと良いのか?」「今があっても、未来が絶望しか無いなら意味がない」といった大きな問いかけには考えさせられます。
まさに、今日本で問題になっていることであり、「お金」とはどういうものなのか?どのように使うべきなのか?を考えさせられました。
この作品が投げかけた問いはあまりにも重いですが、その分作品の世界に入り込めるのでオススメです。未視聴の方には是非見て頂きたいですね^^
{/netabare}