緑のラン さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
過去に見た事が無いストーリー
オーバーロードⅢは、全体的に面白かったけれど中でも11話のエンリ将軍の話が一番爽快感があって好きです。逆に12話の大虐殺は、アインズが極悪側にふれ過ぎてあんまり気持ちよくは無かったです。こんなふり幅が大きいところも魅力でした。
見ていると幾つか疑問が沸いてきたのでオーバーロード1から全話を見直してみたました。するといろんな所を見落としていたのに気がつきました。疑問だった事が実はちゃんと伏線がはられていたのです。
例えばシャルティアを精神支配してたのは、ツァインドルクス=ヴァイシオンと言う竜だった。一瞬だけれどシャルティアと戦うカットがありました。またその時にシーンに出ていた13英雄の一人の老婆が指輪をさずけたと言うのがガゼフ・ストロノーフ。そのガゼフが一時的に指輪を託したのがクライム。あの指輪の行方は?その効力は?そしてガゼフは、本当に死んだのか?竜であるツアインドルクスは、あの指輪は人には過ぎた物とまで言っていたのに、その効力は最後まで使われてなかった。それはガゼフが指輪をつけてなかったのか?つけていたのか?それも不明です。
エンリの呼び出した大ゴブリン軍団。何故、あんな事が起こったのか?アインズが口にしていたスキルレベルでは?と言う話に関して、実はオーバーロードⅢの最初の方にエンリは、ゴブリン達を言葉で完全にコントロールする表現がありました。またオーガすら使役し、ゴブリンは武技まで使いこなす状態。これはエンリのゴブリンサモナースキルの上昇を意味していたのです。こんな風に実に微妙な伏線がいろんなところに隠されていました。
何度も見直していると、実はこの作品、一人ひとりの細かい人間関係や機微など、繊細な部分も描いてました。特に細かく描かれているのがエンリとンフィーレアの二人に関してで、もしかしてエンリこそが真の主人公じゃ無いだろうかと思えるほどです。よく考えて見ると主人公のはずのアインズ・ウール・ゴウンは、アンデッド。今や魔導王として人間を虐殺しまくってます。こうなると見てるほうは感情移入できなくなって来るので代わりの狂言まわしが必要になるはずです。するとクライムかエンリが適当です。流石にトカゲやハム助は無いから。
エンリは今や世界第3位の戦力を持ち、それで居て、村娘的な立ち居地と若さと善良性があります。周囲も良い人が取り巻き、まだまだ成長する余地もあります。クライムはラナ姫と言う毒女を慕うので悲惨な末路しか思いつきません。ガゼフが死んでその後をつぐ、ブレイン。ブレインにもその可能性があるのだけれど、実はブレインは今のところあまり深く人間性が描かれていません。と言う事で、いまのところ、真の主人公はエンリでは無いか?と言う説を強く押します。
以上、オーバーロードは、過去に見た事が無いような特殊なストーリーで何が起こるか先が読めない事が楽しくてしょうがありません。その上、人間描写や設定も細かく、また国レベルでの戦いや宮廷工作などまでも表現しファンタジーとしての剣と魔法と言うギミックも十分に使ってます。
現在、最もお気に入りの作品。できれば続編を早く見たい。そしてきっとあるはずです。だって最終話が、And The Story Goes On だったのだから。