緑のラン さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 2.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
大事な事はセリフで語らず映像で伝えて
監督は、湯浅政明さん。クレヨンしんちゃんや、デビルマン、マインドゲーム、四畳半神話大系、ピンポン、夜明け告げるルーのうたなどで有名。
脚本は、吉田玲子さん、デジモンやガールズ&パンツァー 最終章、夜明け告げるルーのうた、若おかみは小学生!等を手がけてます。
二人とも、夜明け告げるルーのうたをやったと言う事に嫌な予感はしてました。(つい最近TVで見てイマイチだったので。)
映画館に入ると観客は女性が数人。まだ封切して間もないと言うのにヤバイ状態。この調子だと爆死確定でしょう。そして見た後の感想は、陳腐だった。18歳以下の女性のメンタリティーなら受け入れられるのかも知れない。でも自分には無理。他人にもお勧めできない。湯浅監督は好きだけどオリジナルは無理だって判りました。これが監督の感性ならば人生経験が足りなさすぎる。今後は原作アリの雇われ監督をやった方が良いです。
本作は、主人公のひな子とミナトの二人のラブストーリー。サーファーの大学生のひな子、消防士のミナト。二人の出会いとそしてミナトの死による別れ、その後の不思議な体験のお話。問題は、脚本。例えば最初の2分で、主人公すら知らない重要な事を本編でネタバレしてました。つまり観客が先に知ってる事になってしまうのです。これが何を意味するのか?主人公の行動は他人事になってしまうんです。だって私は開始2分でひな子は知らないミナトと後輩君の秘密知ってるもんねーって感じだから。客観視しちゃいます。すると他人事の二人がいちゃいちゃするのを延々と数十分も見せられる訳です。よく知らない二人が勝手にいちゃついてるの見て何が面白いでしょう。興味のわかないシーンが延々と続く拷問です。さらに能天気なミナトが突然亡くなるが全く同情できない。(共感してないし人となりも判らないのだから)当然、ひな子も全然悲しそうに見えません。それよりワザとらしくさえ感じました。全ての行動や感情表現に軽さを感じました。(抽象的な絵なので、こんな話はそもそも合わないと好意的に考えたけれど、やっぱクソ映画)
でもそれでも後半は、少し盛り上がったんです。セリフだけで語ってるところに涙するところもありました。二人のいちゃいちゃなんてカット全部なくして、その泣けるセリフで語ったところを映像化したら良かったのにと言いたくなったぐらいです。また他にも折角盛り上がったところで不必要なシーンの為に台無しにしたり、もうチグハグでした。
もし最初に火事のシーンから始まりミナトと後輩の秘密を最初にネタバレせずに主人公が知る同じタイミングでその秘密を知ることができたなら全く違ったでしょう。最初の火事の原因の犯人を最初にもう少し伏線を張っていたら違ってたでしょう。もしラス前のミナトのメッセージが早めにあれば違ったでしょう。全ての順番がチグハグです。感情の落差がカタルシスです。それをわざと小さくするって何を考えてるのか理解できません。それ以前に、話としてつじつまが合わない事が多すぎる。不必要なカットが多すぎる。必要なカットやシーンの場所が間違ってる。
そりゃね、本当の人生なら無駄なことが大量にあるでしょう。でもね、映画の尺は短いし100年も時間をかける事はできない。無駄なカットなんて不必要でしょう。主人公たちが伝えたい事よりも、妹と後輩君の方が遥に重要なメッセージがありました。だから見たら判るけど、気がつくと妹と後輩君を応援していました。なんでそうなるのか。それこそがこの映画の致命的な問題です。
脚本が悪い、声優が合わない、作画とストーリーが合わない、リアリティが無い、音楽が合わない、細部が雑、展開が納得いかない、行動やセリフが軽い、説明が多すぎる、構成が悪い、メッセージまで陳腐。
さらに白いところにモアレと思われる干渉縞も出ていました。映画のスクリーンがゆがんでるのかと思って映画が終わってからスクリーンに近づいて確認しましたが、そんな物はありませんでした。ちょっと作り方が雑なんじゃ無いですか?
全体的に作りや作業が雑です。残念でした。