緑のラン さんの感想・評価
2.2
物語 : 1.0
作画 : 2.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
複数視点の演出への不満とラストが酷すぎ
この作品は、ある星での戦いの物語。王国の王女ユウキ・ソレイユと敵対する帝国の女性軍人ステラ・シャイニングのダブルヒロインを通して、戦争の双方を表現した作品。結果から言うと、大失敗。(製作前の説明からするとダブルヒロインが売り)
二つの視点で戦争の双方を描いた作品としては、銀河英雄伝説を思い出します。その銀河英雄伝説でも旧作と新作があり、同じように二つの視点で描いていたのに旧作は成功し新作は失敗しています。その失敗と全く同じミスとシナリオの陳腐さも相まって酷い結果でした。タツノコの55周年記念作品としては質が悪すぎます。これじゃタツノコプロ大丈夫だろうか?と心配になりますよ。
エガオノダイカについてダメなところを書くと、2つの視点で一つの戦場や状況を描いているけれど見てる人は混乱するし感情移入もしづらい。その上、姫の能天気さ理想主義は、見てる人とかけ離れ過ぎて自然と帝国軍人のステラや王国側の脇役に共感してしまいます。こんな状況で共感していた王国脇役が次々と戦死していくので敵の帝国に反感を持ちながらステラを見てしまうので今度は帝国側に共感しづらくなってしまいます。その結果、ダブルヒロイン両方に共感できない悪循環が発生。その上に銀河英雄伝説新作でも犯した同じミスが仇となってました。そのミスとは、同じ状況を話を分けて対立する2つの視点(ダブルヒロイン)で描くと言う手法。小説などでは読み手が想像力でお互いの経験している事象の時間差や時間経過を補うのですが、アニメでは同じ話を2度見せられる事になります。この為1度目は疑問が残り2度目は臨場感を失い全体として話の勢いや見てる人の気持ちの置き所も失うのです。演出や脚本を相当気をつけて作らないとこれは無理だと思う。たとえば旧作の銀英伝では、一つの戦いの中で時間を巻き戻す事無くシーンチェンジして2つの視点を描く事で解決してました。この手法だと、臨場感も失わず感情移入もしやすい。何十年も経ても新たに作った銀英伝が原作どおりと言ってもアニメとして駄作に見えるのは、この演出の違いの為です。それと同じミスをエガオノダイカはしてました。
さらに致命的だったのは、オチ。今まで王女の為に多くの人が亡くなり帝国のステラも隊長を失った。それなのにあっさり和解。全ての兵器や技術を無くしみんな平和になるって。亡くなった人たちは結局無駄死にって事です。この作品は、一体何を描きたかったのだろうか?戦争の悲惨さ?途中のだらだらした展開、意味の無いキャラの死。そしてオチありきと思える無理やりな話の流れ。。
エガオノダイカには良いところが全く見つけられませんでした。これがタツノコプロの記念作だとするとシナリオライターと監督を変えた方が良いと思います。。