緑のラン さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
新海誠のリスペクトとオマージュ
中国のハオライナーズと新海誠の映画製作してるCWFの共同制作映画。
監督のリハオリンが新海誠の大ファンで、どうしてもCWFと組んで作りたかったらしい。
その為、見事に全てが新海誠のリスペクトとオマージュに溢れている。
3つのストーリーで構成されたオムニバス。食を中心に一人の青年の成長とノスタルジーを描いた陽だまりの朝食。一人の女の子の都会での生活の中の挫折と挑戦を描いた小さなファッションショー。一人の青年と幼馴染、一人暮らしをする時に見つけた過去のカセットテープに秘められた言葉。そこからつむがれる彼らの過去と後悔を描いた上海恋。この3作品。
傑作でも無いし駄作でも無い、ほどほどの作品。けれど過去に見たどの中国アニメや映画よりも一番よい出来だった。上っ面の中国では無い普通の中国の感性に溢れていたし彼らの置かれた状況や社会変化や心情などがちょっと解った気になった。彼らの10年が日本の30年ぐらいの凝縮だと言う事。地方の生活と進学による大きな変化、別れ、そして都会と地方との分断、そこで失われ忘れられた物。そしてどこの世界でも同じく成長とは取り返しのつかない失敗と言う経験であるってこと。
新海誠のような陰影の印象的な絵、モノローグによる心情描写。景色や身近な物などによる共感やノスタルジー。必死に新海誠を模倣しているのが良くわかる。しかし、新海誠ほどの完璧さは無かった。それでも、これによって表現規制の多い中国でも、情緒的な内面描写という表現手法が定着すれば、表現の可能性を広げるかもしれないなと思った。もし彼らがこの作品を受け入れるならばね。