ゲリオ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良かったが終盤のシナリオに不満
こういった懐古作品のリメイク(?)の中では出来映えが良かったと思われる本作。
恥ずかしながら手塚治虫先生による原作は存じておらず、比較することはできないが、果たしてどのくらい原作要素を取り入れたのだろうか。
特に最終話付近のシナリオの良し悪し気になったので、今レビューを書きつつ原作の簡単なあらすじをウィキペディアで読んでみた。
・・・・ほー、原作では多宝丸って途中で百鬼丸に殺されるんか。
んー、なんか全然違うっぽい?じゃ、気兼ねなくアニメの終盤のシナリオに不満言えるね?
以下ネタバレ注意。
つまるところさ、おっかちゃんと弟が死んじゃう必要あった?って話。
これのせいでバッドエンド感が半端ない。
育てのオヤジさんなんて「ワシ関係ないけど、ついでに死にに来ましたw」みたいな扱いでオイオイ…どうせ命を散らすならば、以前の再登場回で百鬼丸を守る形にするなりしてほしかった。
むしろ原作ではラスボスは父親の醍醐景光だったみたいだし、そこは素直に原作通りの方がすっきり締め括れたのではないか。
本作は1エピごと1~2話で完結形式。
救いようのない暗い回もあれば、コメディ色の強い回もあったが、序盤では妖怪と人間の恋を描いた第7話が印象深い。前話の6話が超絶鬱回だったので余計に。
逆に第15話はひたすら不気味でよく分からないお話だった。作画や演出も普段と違ってたし。
このように各話で担当の脚本家の個性が出る作品は昔の"スペースダンディ"ってアニメを彷彿させる。
終盤の百鬼丸のバーサーカー化についても思うところ有り。
体が人間に近付いていくにつれ、心が人間でなくなっていくのは皮肉なもの。
初恋の少女と孤児寺の子供たちが皆殺しにされた第6話は、百鬼丸をバーサーカーモードにする説得力がある話だったので、この回を序盤に持ってきてしまったのは勿体ない気がした。
どろろの説得でここを踏み堪えたのに、終盤いきなりまた人間を憎み出すのはやや無理があったかなあと。初恋の人を惨殺されるのに比べたら手が無いくらいどーってことないやろ。目は無くても生活に支障なさそうだしw
総括すると、終盤の展開でやや評価を落としてしまったのがやや残念ではあるのだが、とても面白かった回もあればそうでなかった回もあり…いずれにしろ2クールに渡り楽しむことができたのは事実。
熱心な手塚ファンからの批判の声も若干あるものの、これまでの数々の駄リメイク作より遥かにマシで、本作はスタッフによる温故知新の精神がひしひしと感じられた。
"ブラックジャック"などの有名な手塚作品に比べれば、"どろろ"は不遇な立場に置かれていた作品だと思われるけど、今回のリメイクで再評価されるきっかけにはなったのではないかと個人的には思う。