tag さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人の心は、中々に逆説的で、裏の裏があるもので。。。
化物語の感想で、この物語シリーズが、「人工的箱庭世界」と述べた。その真の世界設定とは何か?
心の持ちよう、コンプレックス、後悔、誤解、正常化バイアス、肯定的社会性、これらは、人間の心に陰にも、陽にも作用する。陰に入った時、それが立ち居振る舞いに影響を与え、そこに「物語」が生まれる。キャラ達が、その変化に演技を加え、演出家と脚本家が、色を加える。そう、これが普通の「物語」だ。
しかし、この「人工的箱庭世界」の物語は、その陰が「怪異」として出現する。そういう設定の「人工的箱庭世界」と見える。主人公たち以外のキャラや、変に現実世界を彷彿させる背景や設定は、「怪異」の存在によって、二次的影響を観客に期待させてしまうので不要だ。主人公の彼女の家は壁が消えた演出だ、これはもう、家ではなく「舞台」だ。観察してくれと言わんばかり。
この物語において「怪異」は退治されない。何しろ、怪異=自分の心の影なので。これが普通の設定世界なら、コンプレックスや後悔を乗り越え、一皮むけると言う展開なのだが、この物語では、怪異の存在がそれを行う。
この物語が秀逸なのは、その「真の設定(心の影=怪異)」の使い方が上手く、更にキャラの影も表層的で終わらせず、このセカンドシーズンで、掘り下げること。その掘り下げ方は、「傷口に塩を塗る」という逆説的で物悲しい解決を図る。この物悲しさは、それはそれで、この後の物語に伏線になっている。
もう一つ、面白い、興味深いと思った点がある。化物語では、人を騙すことで悪役になっていた詐欺師だが、このセカンドシーズンでは、それこそ逆説的な立ち位置をコペルニクス的に転換した。「人を騙す」「騙される」ことで、逆説的に救われると言う演出で。全体として、このセカンドシーズンは、化物語と同じ主題を逆説的視点から、深堀したものと言える。
さて、このセカンドシーズン。「箱庭世界」の真の設定がなんとなくわかったのだが、この世界は誰が作ったか?誰が、神(観察者、プレイヤー、箱庭製作者)なのか?このセカンドシーズンでしっぽを出してくる。いかにもというお姉さん(怪異専門家元締め)もいるけど、もう一人いるんでは?とも思う。それは「終物語」の感想で述べようと思う。
セカンドシーズンでは、第一弾で、解説者役を務めたキャラ(怪異専門家の男)はいない。その代わりのキャラ(幼女吸血鬼)がいるのだが、この幼女吸血鬼、第一弾での解説役から、様々な知識を転移してもらっている。まるでゲームの進行が分かるがごとく。何か、このあたりにも、この物語の真の設定の、更に上、”メタ真”設定があるような気がしてならない。