錯乱坊 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
P.K.ディックの悪夢の世界に似た味わい(魔法少女風)
日本では、その印象的なタイトルや映画がヒットしたことで『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(映画化名『ブレードランナー』)の作者として知られるP.K.ディックですが、その本質は現実とは何かを悪夢のように変転する物語の中で哲学的に追求した作家だと言えます。いきなり何を無関係なことをって感じですが、この『輪るピングドラム』も過去と現在、現実と妄想、絡み合う思惑の中で家族という関係性が何度も変転することで不安定な世界を表している点で、
ディックの代表作である『高い城の男』や『火星のタイムスリップ』に非常に似たテイストの作品になっています。
『運命の乗り換え』⇒時空選択能力(『火星のタイムスリップ』の中に出てくる自閉症の少年が持つ究極の超能力)、『運命日記』⇒『蝗身重く横たわる』(『高い城の男』の中に出てくる発禁本で作中世界とは違うこうなっていたかもしれない世界が描かれている)などの類似点を見出すこともできますが、なんといっても見終わったときの印象が『ディックだなぁ』なのです。
いろいろ謎のまま終わった部分があるのですが、(そういう点でもディックに似ている)何回か見直してみて初めて良さがわかる奥深い作品なので、是非見られることをお勧めします。
あと、オープニング、挿入歌、エンディング等が全部で16曲あって、それぞれ一聴の価値があるので、この点でもお勧めです。