てっく さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
色々な目線や感情、思いや願いを見せつけて考えさせてくれる作品。
有名な手塚治虫さんの『どろろと百鬼丸』のリメイクです。
原作では鬼神の数が多く、また完結してないこともあり期待と不安が入り乱れての視聴となった。
最終話を終えて、これほどまで細部に渡り人間の哲学的な部分を考えさせられた作品には初めて出会った気がする。
手塚さんの作品には、何かメッセージ性の強さがある印象を持っていた為、
主役である百鬼丸やどろろの目線での思考や感情だけではなく、父や母、弟や育ての親、その他の登場人物においての「何が」を想像し考えを巡らせてみる。
そこには、人としての正しさや生きて行く為の正しさなどが見え隠れする凄く面白く深い作品。
本当の意味での「人とは何か?」を見せてもらった。
そんな作品。
{netabare}
17話で百鬼丸が寿海と再会し、「おっかちゃん」と言った時には胸が詰まる思いでした。
これは、子を育てた経験がある人なら、寿海が「それは違うぞ」と涙ながらに返した感情が強く心に入って来るのではないでしょうか。
最終話の着地地点も賛否はあるだろうけど私的には良かったと思います。
ラストのどろろが大きくなった姿で金色の中を走り百鬼丸が振り返り笑顔を魅せる。
二人の歩みが実を結んだ事とミオが命がけで取り返した種もみが生かされた素敵なシーンでした。
{/netabare}
なんでしょうね。(笑
第一話でのどろろちゃんの印象は、
「妙に煙たい子やなぁ」という印象だったのが、
回を追うごとに可愛く見えてくる。そして芯の強い子。
だからこそ惹かれるんでしょうね。
声優の元子役の子も、初めは慣れてない印象だったけど、回を追うごとに上手になってきて、よくやり切ったと思う。
景光が鬼神と取引きした「国の繁栄」。
これは本来、『人が』背負うべきモノではないだろうか?
干ばつや疫病などの自然災害。人が人の為に繁栄させる物事。
これら全てにおいて、神ではなく人が乗り越えなきゃいけないもの。
それを神に身代わりさせると言うことは、人が人として学べる事までも奪い放棄してしまう。
苦難を乗り越える事を知らない人間で成り立つ国は、いずれ綻びが出て崩れる。
そんな気がする。
「離ればなれになるってことは
一度は一つになれたかな」