たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
外伝ながら「フィルムノワール」をしている
諫山さんの「進撃の巨人」は徹底して人間を「悪」であると捉えている。
それはキャラクターからにじみ出てくる一切の同情の余地を見せないエゴイズムの塊を見せられているからであり、
「デビルマン」はもちろんのこと「寄生獣」「エヴァ」「デスノート」とこういう漫画の分野にも思える。
原作における、「アルミンを助けるのか。エルビンを助けるのか。」問題も、「妹を犠牲にして、兄が生き残る。」問題も、リーマンショック後の不経済による2000代後半から浮上してた「囚人のジレンマ」そのものである。
キャラクターの行動も思慮深く、まるで1800年代のイギリスや、1930年代のアメリカのような暗く陰鬱で先の見えない感覚が支配している。
本作も外伝でありながら、原作の序盤の仕掛け人である雌型の巨人アニ・レオンハートの内面を表現しながらも、作品に漂う人間不信そのものは全くと言っていいほど変わっていない。
非常に複雑な構成のように思えるが、実は発想の奇抜さやダイナミックさよりも、理知的に冷静に社会を見据えているだけ気が楽というものである。
「進撃の巨人」も最初は奇抜な設定でウケていた気がするが、実は蓋を開けると理論的に構成されたテーマや設定が土台を覆っている堅実な作品だと思う。
その理知的な様子が本作でも生かされているので、深みがあるように思えます。