TimuTimu さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アニメ史の中で5本の指に入るほどえげつない作品
この作品を見たのは2回目で、1回目はSFに手を染めてちょっと通ぶってイキりたくなった17の秋、そして2回目は7年の時を経て未だ吸血鬼のように孤独な夜を過ごす24の春・・・泣。
しかし、やはり7年ぶりに視聴すると様々な要素・観点から評価できるようになりました。その結果、この作品は声優・演出・脚本・音楽・作画、、、いろんな角度からメスを入れてもベストパフォーマンスを誇るアニメ史上最高のSF映画ということです。
★あらすじ★
主人公がおじさんからの依頼を受けて相思相愛中の吸血鬼×お姫様カップルから娘を取り戻そうとするドタバタシリアス作品です。
★世界観★
世界観はまあ取り合えず「ウェスタン」で「ガンマン」で「吸血鬼」で「情熱的」で「美しい」という印象が強いです。
あんなに淫靡な夜が似合う吸血鬼と世紀末チックに描かれた殺伐とした「ウェスタン」なタッチがマッチするとは思いませんでした。
そして殺伐な世界の夜はそれはもう怖くて、お化けがthrillerしてもおかしくないような描写・・・完璧な世界観です。
また、この作品における「吸血鬼×人間」はまるで「ロミオ×ジュリエット」のような関係性。僕な大好きなWeb漫画「RBB」も人間と吸血鬼の関係性を巡る、まるで現代の人種差別を踏襲したような作品でした。
これもまた異人種観を踏襲しつつもロマンチックな展開になりそうですが・・・詳しくは本編を見ましょう。
★キャラクター★
キャラクター及び演出ですが、草食系男子を体現したような厨二心をくすぐる無口イケメン主人公『D』と吸血鬼の情熱的な部分を象徴したクールガイ山寺宏一こと『リー』、そして「男はバカね・・・」と何かを悟ったかのようにポツリと独り言が漏れた「灰原哀」。この三人が主な主要人物として物語が進んでいきます。
★演出★
この作品の一番の魅力は演出といっても過言ではありません。
何と言っても「黒」と「白」と「赤」の色使いが絶妙すぎる。全て吸血鬼を象徴とした色ですがここまで鮮明に、またさりげなく強調させることができるのかと思いゾッとしました。特に終盤のこの色使いを意識することをおススメします。
次に基本的なところから緩急をつけた緊張感ある戦闘シーン、月を背に馬が前足を上げるシーン、Dの顔と剣が交互に写し出されるシーン、他にも色々ありますが素晴らしい描写がたくさんありました。
★まとめ★
吸血鬼はとても冷酷な存在と思われがちですが、この作品を見ると情緒的な部分が見れてとてもよかったです。
また、話の進め方が殆ど三人称視点なのにも関わらずこの吸血鬼と人間をめぐるもどかしさがヒシヒシと伝わる作品でした。
この作品に影響を受けて後から様々なSF×吸血鬼作品がでましたが、少なくともアニメ界では未だにこの映画を超えるものはありません。原点にして頂点です。
今すぐ吸血鬼になりたい方は是非視聴してみてください。