fuushin さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
まぶしくて、甘ずっぱくて、自分の足で立ってみて。
若い2人がサーフィンで恋を始める物語。
女の子はひな子さん、男の子はひなげし君。
"ひなひな" って言えば、できすぎですか?
実は、この2人、出逢いはもっと深いご縁があるようなんです。
種明かしは・・・興を削がれますね。
チラシの絵柄は、これからの季節を迎えるにぴったりのワンシーンが描かれていますけど、それだけじゃあありません。
春夏秋冬をきっちり使い分けて、これでもかっていうロケーションとシチュエーションで、お互いの愛を温めあうシーンがてんこ盛りです。
それはもう、観ている方が恥ずかしいやら、羨ましいやらのスキンシップ。
海の風景も、街の景色も、全部が二人の周りを素敵に演出する大道具。
もちろん、小道具だってぬかりなく演出に組み込まれています。
2人の周りにはいつだって波があって、会えばいつまでも恋を語らって、明るい愛の交歓がどこまでも昇華していくんです。
口を合わせて歌うことも楽し気で、時に軽やかに華やかに、未来は幸せであることを微塵も疑わせません。
でも、ひなげし君の突然の別れに、ひな子の歌声は沁み入るようにもの悲しくなり、口にすることさえも心苦しく聴こえます。
別れに向き合えないひな子は、彼への想いにしばられ、頼りきって、立ち止まってばかりいます。
とは言え、死と生の狭間に遺す恋愛感情は、いかにも栓ないこと。
ひなげし君は、彼女の自立をやさしく見守り、耳元でそっと励まし、いつまでも待ち続けます。
アンデルセンの "人魚姫" を感じさせる演出も、いかにも儚い。
もう、同じ波には乗れない2人。
もう、同じ時を過ごせない2人。
そんなひな子の生者としてのけじめが、どんなふうに描かれるのか。
女性としての独り立ちを、どんなシチュエーションで表現するのか。
湯浅監督がこだわった絵作りを、ぜひ劇場でご覧になってみてください。
本作に感情移入すればするほど、視聴後の満足感はたっぷりめです。
人によっては、はずせない作品になるでしょう。
決して大作というわけではありませんが、ちびっとマジカルなラブコメのジャンルなら申し分なく "キレイな良作" だと思います。
劇場の入りは、少し寂しかったですね。
もし可能なら青春カップルか熟年ペアでどうぞ。
世代を超えて、広く女性への応援歌ですよ。
男にも女性への心配りを応援されてる、かな。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本作が、皆さまに愛されますように。