bac さんの感想・評価
3.9
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
勢い重視の美麗アニメか
まず何よりキャラクターの動きが素晴らしかった。表情ひとつ取っても、押さえるところではしっかり押さえた精緻な絵作りが徹底されていたように感じられる。戦いのシーンが多いアニメながら、「シュバババ」的な動きによるごまかしが皆無なのも衝撃だった。
一方でシナリオははっきり言ってガサツだ。何故そいつがそこに?何故そんなことに?といった疑問符が1つの話の中ですらいくつも浮かぶ。そしてその答えは、恐らくその後の演出を格好よくするためだ。素晴らしい作画と相まって、魅せシーンの迫力はそれまでの説得力の無さを吹き飛ばしてくれる。本来であればさりげなく伏線を張り、整合性を意識して慎重に構成するところを、このアニメは絵作りでゴリ押しているのだ。しかし、これこそアニメの強みなのかもしれない。
ところが、8話を境に状況が変わる。主人公たちが成長してカバネをやっつけられるようになったせいか、戦う相手が人間になるのだ。よく言われるが、テーマがぶれたわけではない。徹頭徹尾「恐怖との戦い」を描く、臆病への警鐘がテーマだ(と思う)。変わったのは盛り上がるシーンまでのウォームタイムが長くなる+盛り上がりの演出が空回りすることの2点。マンネリもあるだろうが、後半につれてカタルシスが小さく感じられた。
しかし、キャラクターへの愛着は前半で充分に育まれているため、彼等の戦いを見届けたいモチベーションは損なわれなかった。最終目標は達成されずに幕引きとなるが、それも好き好きだろう。私はむしろ好みだ。
惜しむらくは、スチームパンクなガラクタが思ったより登場しなかったことか。蒸気!真鍮!巨大シリンダー!な絵がもっと多ければ、シナリオのマイナス分はもっとゴリ押し挽回出来ていたはずだ(私の好みを多分に含んだ分析です)。