ぷれんばにら さんの感想・評価
4.4
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「湯涌温泉」に行きたくなりました
{netabare}喜翆荘があるという石川県の温泉街の情景描写、そして物語と情景とを繋ぐクラシカルな音楽。これらは文句なしに素晴らしい完成度で、私も是非作品の舞台となっている湯涌温泉に行ってみたいと思いました。
・・・しかし、「湯乃鷺温泉」に行ってみたいという感情は湧きませんでした。
どういうことかと言うと、私が湯涌温泉に行きたいなと思ったのは、そこが花咲くいろはの舞台となっているからではなく、ただ純粋に風情のある温泉街だなと感じたからです。
作品を観た後、私には緒花達の喜翆荘に対する思いや、キャラクター同士の恋愛事情が、画面の手前で止まったまま終わってしまったように感じました。
本当の意味で感情移入出来る作品は、アニメの中で起きている出来事をまるで自分の事のように感じ、キャラクターと共に喜び、涙し、感動できるものだと私は思っています。しかし残念ながら、本作品はそうしたことはなく、登場人物達の中だけで話が完結してしまっている感が否めませんでした。
「印象に残っているシーンは?」と聞かれて真っ先に挙げるとすれば、最終話で緒花が孝一に自分の気持ちを伝えるシーンで、やきそば屋のおじさんが紅生姜と青海苔でハートマークを作ったやきそばを二人に渡す場面でしょうか。とっさにあんな素敵なパフォーマンスができるおじさんの感性に私は心を打たれたのですが、「それ以外は?」と聞かれると、しばらく考えて探さないと答えられないというのが正直なところです。
花咲くいろはは間違いなく「良作」です。しかしあと一歩のところで「傑作」に届かなかった感じがしました。もしも私が湯涌温泉に行くときは、本作品の聖地巡礼というより、ゆっくりと温泉に浸かりたいという目的で行くことになると思います。{/netabare}