瀬名 さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
死ぬほど田舎に住みたくなる
アニメ作品の中で、かなりお気に入りに入ってくる作品。
書道家の話って観たことないので新鮮でした。
私は「はんだくん」を放送中に観たのがきっかけで、本作の存在を知りました。
はんだくんも面白かったですが、全然毛色の違う作品であり、私は本作の方が好きです。
まず、何よりど田舎な背景が良い。
そして〝なる〟が死ぬ程可愛い。喋り方も行動も、何から何まで可愛くて、面白くて、めちゃくちゃ好きです。
こんな可愛くも自由すぎて時にうざったいような子供がまるで自分ちに帰ってくるかのように遊びにやってくる生活。なんて羨ましい。
そして、大人のくせに情けなくて、田舎生活に馴染もうとしつつ空回ったりしてしまう半田がまた良い。絶妙に情けなく、憎めないキャラをしています。
海が近くて、周りは木だらけ。
周りには便利なものが何もない、車がなければ買い出しも大変すぎるような、本当の田舎。
この田舎感が最高に良いです。
私はゴミ粒程度の虫にさえビビる大の虫嫌いですが、こんな田舎に住みたいと心底思ってしまいます。実際は無理だけど。
作者本人が島育ちということで、地元がモデルになってるとのこと。
だから方言や島の雰囲気がとても自然で、リアルで、田舎の良さがひしひしと伝わってくるのです。
そんな、周囲の住人達とのやりとり、田舎の生活を眺めていると楽しめつつ癒されるのですが、本作のメインは書道。
ある事件を起こしてしまった書道家の半田が、書道と向き合うためにこの田舎にやってきたのです。
半田は情けないところばかり目立つ奴ですが、書道への熱意は本物。
苦悩しながらも一室半紙で埋め尽くされるほど書道に打ち込む姿は格好良いです。
基本ネガティヴで、なのにプライドが高く、そして考えすぎな面倒臭い人間が、田舎で周囲の住人達と触れ合っていくことで、自身では気付けなかった自分という人間を知っていき、自分と、そして書道に向き合っていく成長も描かれます。
半田の声優は小野大輔さん。これまた絶妙に情けない声を出してくれるので、キャラにぴったりです。改めて上手い人だなぁと思いました。
ばらかもん=元気者
タイトル通り、出てくる住人達(基本)みんな元気で、嫌なキャラが全然出てきません。
半田の家にしょっちゅう遊びに来るJK2人組・元気っこの美和と隠れ腐女子のタマ、半田にご飯を運んでくるイケメンだけどザ・平均男でDKのヒロシ、極度の人見知りですぐ泣く情緒不安定すぎる小学生のヒナ、やけに冷静で達観しているアッキー、その他悪ガキたちや、癖のある大人たち。
色々笑えるところが多いのに、何気ない日常のやりとりで住人達の優しさが染みるように伝わってきて、心温まります。
特に漫画家志望で隠れ腐女子なのに、周りには文学少女だと思われたいJK・タマがツボです。
普段は大人しそうなのに、いきなり激情に駆られて自分の世界に入るタマ、面白すぎる。自分は腐女子じゃないと信じたいのに腐女子思考に葛藤する姿がまた笑えます。
また、本作の魅力は各話の題字。
ものすごい達筆なのですが、本物の書道家先生が書いてくれているものなのです。
さりげないところに書道漫画という本質のこだわりを感じられて、とても好ましい。
各話タイトルは方言言葉なのですが、きちんと訳が隣に入っているのでほんの少しだけ勉強になりますw
OPも作品にあった曲で、歌い出しの「自分らしさってなんだ」という言葉がまんま本作に沿った歌詞。
作画はたまに微妙なところはありますが、日常を基本描いている作品なので、そんな気になりません。
些細なところがとても心に残る作品です。
原作もアニメ同様良いですが、方言が基本の田舎舞台の作品なので、アニメならではの良さが十分に発揮されていると思います。