washin さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
千年「女優」
千年と女優という二つの単語で作られているタイトル。一見インパクトのある言葉は「千年」のほうだと思います。ただ私は「女優」のほうがより印象に残りました。
偶然の出会いから始まり、顔もおぼろげな鍵の男を追い続けるという波乱万丈な人生を送った千代子。しかし実はその男を追い続けるという自分が好きだったというラストの言葉。身もふたもないことを言えば悲劇のヒロインである自分に酔っていたということです。ただそんじょそこらのもんとはわけが違います。なんてったて千年ですから。これを狂気といわずしてなんというのでしょうか。このストーリーだけでも十分おもしろい作品でしょう。
そしてこの映画のすごいところは、それら千代子の人生を、現実フィクション織り交ぜてを表現した画、音楽、演出だと思います。さすがは今敏監督といったところでしょうか。
つなぎ目のないカットを用いたり、いるはずのない人物を介入させたりすることで、現実世界と映画の世界の境目をなくし、千代子にとって映画が、女優であることが当たり前であったということが存分に伝わってきます。
ときに聞かせる音楽、ときに疾走感のある音楽をもちいることで映画にメリハリが生まれ、伝記にありがちな停滞感をほとんど感じません。
千年女優で居続ける。それほどの愛を、私も持ちたいと感じました。