二足歩行したくない さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ずっと水面から顔だけだして泳ぎ続けているような、爽快感を伴わない疾走感
ガンダム00同様、オルフェンズも全50話を25話ずつ2回に分けた形式で放映されていて、本レビューは後半25話のレビューです。
一期のそのまま続編となっていて、中・大規模の会社へ成長した鉄華団の、それからを描いた内容です。
一期から作品の基本姿勢は変わらず、主人公は平和や正義、自由や権利のために戦わず、ガンダムバルバドスのパイロット「三日月・オーガス」はオルガのため、鉄華団の社長「オルガ・イツカ」は、鉄華団の仲間に居場所を作ってやるため、戦いを続ける展開となっています。
全50話の4クール、総視聴時間を鑑みるとそこそこ長い時間を費やして追いかけ続けてきましたが、物語に疾走感があり、立ち止まる箇所が無いということもあり、振り返るとあっという間だった気がします。
ただ、その疾走感に爽快感は伴わず、ずっと水面から顔だけだして泳ぎ続けているような、喘ぎ続けるような感じだったように思います。
スペースデブリとして人間以下の扱いを受けてきた子どもたちが、鉄華団という居場所を作り、守りたい、認められたいと抗い続け、そして終わるストーリーで、内容は暗く、一応アニメなので美少女キャラは登場しますが基本的には男臭い作品でした。
とはいえ、他のガンダム作品同様に革命家、マスクの男は登場します。
腐敗したギャラルホルンを乗っ取る「マクギリス・ファリド」と鉄華団はギャランティーの発生を条件に手を組み、鉄華団はマクギリスの起こすクーデターに手を貸すことになるのですが、両者間には仕事として結んだ契約があり、主義や主張などは介在しないことは本作の大きな特徴だと思います。
また、マクギリス艦隊は地球統制を目的として編制されたギャラルホルンに立ち向かえるほどの大規模ですが、過去のガンダム作品のような“コロニーvs地球連合”、"スペースノイドvsアースノイド”のような戦いに比べると全体の戦闘規模は小さく、敵もあからさまな悪ではないため不必要な犠牲は良しとしないこともあり、過去作品のようなコロニー規模の虐殺やコロニー落としに代表する非人道行為はなかったように感じます。
なお、作中のモビルスーツはナノラミネートアーマーという特殊装甲で覆われているため、本作では基本的にビーム兵器が登場しません。
そういったこともあり、戦場はモビルスーツのぶつかり合い、破壊の応酬がメインとなり、結果、機械の破壊音が轟く、泥臭い戦いが繰り広げられる戦場が描かれています。
ラストは、結果、主人公たちによって良い終わり方ではありません。
ラストに近づくに連れて主要キャラが次々死んでゆき、どんどん雲行きが怪しくなってゆくので、見ていて辛いところがあります。
よくネットではネタにされているオルガ・イツカの「止まるんじゃねぇぞ」のシーンも、実は非常に良いシーンで、ネタにされている理由がよくわからないかった。
前後も理解して見ると本作を象徴するような名シーンでした。
ラストについては、このラストがダメというわけではないのですが、私自身がご都合主義のハッピーエンド大好き人間なので、個人的に好みの終わり方ではなかったです。
ただ、わかりやすい悪を単純に倒して終わるのではなく、混沌とした世界に対する答えのうちの一つが示された、客観的に見て良いラストだと思います。
この終わり方も含めて、鉄血のオルフェンズはガンダムと言うにはあまりにも特殊な、それでいてガンダムらしいガンダム作品だと感じました。