101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
意外と静かに泣ける温かい近未来SF風ドラマ
放送当時は1話で挫折……。
理由は初見時の私が、本作が大仰な悲劇と演出で感動を押し売りしてくるだけの、
苦手なタイプの作品だと、誤解したから。
人間と共に生きるアンドロイド「ギフティア」が実用化した未来。
寿命が来た「ギフティア」を回収する部署の物語。
配属された主人公少年のパートナーの「ギフティア」のヒロインも、
どうやら寿命が近付いているらしい……。
この基本設定を踏まえて、初回に挑んだ時は、
これは終盤、強引に泣かせに来るのかも。チョット面倒くさいな……。
そう思ってしまうと、アンドロイドとの共存と言うSF設定自体も、
感動のためにこしらえた嘘っぽい要素に思えて来て……。
ここは一旦、視聴中断して距離を置いてみよう。
で、長らく、それっきりになっていました。
再挑戦しようと思い立ったのは二年ほど前。
ニュースで1999年~ソニーから発売されたロボット犬・AIBOの話題を見て。
2014年のサポート終了後も、“治療”を引き受け続ける元ソニー技術者有志たち。
私は人とアンドロイドが暮らす未来なんて当分先の話だと思っていたのに、
ロボットに愛情を注ぎ、思い出を作り守っていく文化は、
現在進行形で着実に続いて来ていて、
それを支える技術者たちがいる事実に衝撃を受けました。
彼らの仕事ぶりを眺めていて、「ギフティア」を物として回収するだけじゃなく、
人と「ギフティア」の心のケアにも気を配る「ターミナルサービス課」の面々に再会したくなり、
再挑戦した次第。
人とアンドロイドが寄り添う未来はあり得る。
と言う確信も推進力に完走してみると、
本作はアルコールなどの刺激物の如き突発的な悲劇で酔わせて、
涙腺決壊を狙うことを主目的にしたタイプではなく、
むしろハーブティみたいにジックリと、平穏であることのかけがえの無さを噛み締めて、
ジンワリとした感動で心を温めていくタイプだったのだと思います。
ラストを見ると、{netabare}序盤の、人と寿命を迎えた「ギフティア」との悲しい別れは、
繰り返してはならない教訓としても蓄積。
無事にアイラが“天に召される”瞬間は、
あ~良かったな~(泣)とホッとして温かい涙が頬を伝う。
最後は波乱よりもハートフルを重視した全体構成だったのだと思います。{/netabare}
ただ、5話の脚本なんかには、私は疑問を感じてしまいます。
{netabare} “立ち入り禁止区域”に堂々踏み込んだ少年ソウタが、
“ワンダラー”と化し暴走した「ギフティア」と悲劇的な再会&別れを経験してしまう。
と言う強引なプロット。
暴走することもある「ギフティア」にGPSを付けない理由として、
語られた“人権”と言う突飛なワード。
この辺りは、例えば、少年と「ギフティア」が思い出として共有している場所を
“立ち入り禁止区域”外に設定し、あらかじめ描いておく。
「ギフティア」を拉致した闇回収業者は当然、GPSくらい解除できるスキルくらい有している。
といった伏線芸で容易に切り抜けられたと思われ、
私はやや白けつつ、ここで脱落する人がいても仕方が無い……。
勿体ないな~と悲劇を眺めていました。{/netabare}
特に前半戦に、感動押し売りアレルギー発症ポイントも散見され、
キャラも人類、「ギフティア」共にチョット独特な近未来風味?で、
最初は取っつきにくさも感じるかもしれません。
ですが、それらを乗り越えれば、アイラたんの“エラーメッセージ”(笑)も含めて、
全てが愛おしくなる。
素敵な思い出を作ることができるアニメになると思います♪