あぱぱ さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
汚れ役とデモクラシー
視聴回数 劇場版含め5回くらい
本レビューはTVオンエア&劇場版2作(劇場総集編除く)
まとめてになります。
最初に本作品のニーズについて書きます。
まず歴史と社会について興味ある方、
この先の世の中の動向に関心ある方。
そうでもない方でも、何かの刺激があるかもしれません。
物語の内容は、色々と整理しながら視聴しないと
キャラクターの行動や台詞の意味が感じづらい気がします。
エンターテイメントではないので、
ライトな気持ちで視聴すると
作品全体への嫌悪感や飽きがあるかもしれないです。
視聴される方の中には地味な印象で見切られる
ケースもあるのではないでしょうか。
以下は視聴者済みの方向けです。
{netabare}セレソン(救世主)=汚れ役と解釈できそうな
物語に見えますが、このゲームは「1からスタート」
することが本来の目的であり、「0がゴール」
という解釈もできます。
金と情報とネットワークがあれば、何かしらのカタチで
日本を変えられるかもしれないと、期待されたセレソンたちの
個性が、物語を盛り上げてくれる趣向は興味湧きます。
デモクラシー(民主主義)は、汚れ役の犠牲で成り立っていて、
国民が生き続けられていることを再確認させてくれます。
主人公タキザワの台詞で「愛がない」という社会は
歴史の中では瞬間的に変革があっても、疲弊していく末路が
待っていると思えます。
エデン(楽園)は永遠ではありません。
エデンに到達するには古いエデンを壊して、
新しいエデンを見つける行動が必要なのだと
作品は示しているのではないでしょうか。
しかし古いエデンからも学ぶことがあり、それを活かして
新しいエデンへ進んで行く姿勢が感じられます。{/netabare}
かれこれ10年前の作品ですが、色褪せることなく現在でも
視聴に値する作品だと私は感じます。
(余談)
いろいろな事柄にも言えることですが
人間個体が「100」という数値が最大量の器を持っていたら
その器に含まれる構成によって人間は形成されているのかも
しれません。
例えば「楽70 徳30」といった感じで、一生で楽な生き方を
70占めていれば、30の人徳を持っています。
「勝ち逃げ人生」は、ほぼ有り得ないと私は思っていますが
この「100」の器をリセットしてでも得られる幸せが
見つけられれば、その人は幸運ではないでしょうか。
この器の中身は一人ではどうやっても埋められません。
埋めていくのは自分自身とあなた以外の人々です。