sinnsi さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ボタンの掛け違いのような作画とストーリー ※ごく一部で★5.0級
(初投稿)2019/06/02
([本文]の誤字指摘箇所を修正)2019/10/23
(追記:今後京アニが少しずつ前に進んでいくことを願ってやみません。改めてお悔やみ申し上げます。)
[本文]
京アニの作画は非常に素晴らしく、「京アニクオリティ」と呼称されることも非常に説得力があるだろう。
本作もそのクオリティを満たした作品であろうが、例外的に戦闘シーンは問題であると言わざるを得ない。
本作は戦闘シーンが目立つのだが、
主に戦う栗山未来の動きが、良い意味でも悪い意味でも悪い意味でも、15歳・152cmの6頭身少女相応の動きでしかなく、身体能力の高さもまるでうかがえない。
それでもヌルヌル動くのだが、全身で命懸けで戦っている感じではなく、ただ武器を振り回す少女の動きを、2倍速再生・3倍速再生したようなアンバランス感しかないのだ。
さすがにそのままでは不自然なので、多少自然な仕上がりにはしているのだが、それ以上の付加価値はないので、見ていてまるで面白くない。
妖夢のデザイン・動きにおいても、基本的に大きくやぼったいため、見栄えや疾走感もあまりよろしくない。
他作品の戦闘シーンは、戦闘方法に差はあれど、全身で命を懸けて戦っている感じがするのだが、
白兵戦のこのアニメにおいては、エフェクト・スピード(倍速再生)に頼り、カメラワークもそこに寄せて引いての演出ばかりで、
人間本来のフィジカルの高さがまるで感じられない。白兵戦の大事な部分が蔑ろにされ、本当に面白くないのだ。
命懸けの戦い以前に、スポーツですらないし、レクリエーションですらない。緊張感も何もなくて、ただ動かしてるだけだ。
戦闘シーンは綺麗なだけでは、少女の動きを方程式通りに描いただけではダメなんだということが、よく分かった作品であった。
キャラクターが命を懸けてる感じがないと、その戦闘はただの日常シーンでしかない。
ストーリーは{netabare}異界士、妖夢、半妖、呪われた一族、虚ろな影、境界の彼方などの固有名詞が付いてまわるのだが、
特に目新しさもない設定でいて、それにまつわる展開も残念な戦闘シーンで進んでいく。
さらに投げっぱなしや突拍子もない設定が多く、勢いで動いて解決したり、秘めたる能力で解決したりといった展開も、戦闘を絡めて非常に多い。
それであっても「どうしてそうなったんだ?」「逆に悪くなってないか?」と感じる部分もあるため、消化不良で進んでいく。
ただ、萌えアニメを基準にしてリアリティを除外すれば、
平穏な日常シーンに限っては、キャラクターの言動は最後まで一本筋が通っていて、セリフ回しもラノベ調ではあるが、そんなに嫌いではない。
声優の演技も、キャラクターに十分に合致している。
なお、地上波版のラストシーンにおいては、本当に嫌悪感しか覚えない。
やはりご都合主義としか思えない上、今まで戦ってきたことの結果は、ほとんど無に等しいこととなっているのだ。
ところで、続編かつ完結編の劇場版のネタバレになるが、そのラストシーンは{netabare}秋人と未来の愛がピークへと至り、未来の告白によって結ばれて終わる。
シンプルなのだが、非常に明るい将来が感じられ、愛と希望に満ちあふれた終わり方で、掛け合いもほほ笑ましくて尊い。このラストシーンだけは、★5.0を付けられる。
ここに至るまでの過程は、今まで通りな具合の戦闘・ストーリーの上には成り立っているが、それでもこの2人の愛だけは本物であると言い切れる。
どうしても総合的には★3.0となる上、1分でしかないシーンなのだが、この★5.0のラストシーンを見るためのアニメであったと言って、過言ではない。{/netabare}{/netabare}