雀犬 さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
PSYCHO-PASS2を見たら俺の色相がドロドロに濁ったという話
『駄作係数オーバー300、酷評対象です。
セーフティを解除します。
酷評モード、リーサル・エリミネーター。
慎重に照準を定め対象を評価してください。』
さぁ行こうか。
{netabare}
PSYCHO-PASS2は一期に比べてイマイチだって評判は聞いてて、観る前からハードル下げてたんですけど見事にズッコけたわけでして。
制作会社もライターも変わって1クールに枠縮小されているとはいえ、これはちょっとひどいんじゃないですか。
まず新キャラがイケてない。前作の最終話に登場した霜月が監視官としてレギュラー出演します。この娘がダメダメ。朱と捜査方針で対立するのはいいんだけど、すぐ保身に走るただ性格の悪い女でしかない。彼女はシュビラの信仰者という設定なのだけど、徹底したリアリストだとか、功利主義者だとか確たるポリシーがないから朱とのコントラストが生まれない。朱とは違った正義を貫き、僕たちに「正義とは何か」を再考させるキャラであって欲しかった。
かといってストーリーを通して成長をするわけではない。つまり、霜月が画面に映っている時間は面白くない。せっかく一期の最終話で続編への含みを持たせたのに、それを活かせてないのはいただけない。
二期の敵キャラ鹿矛囲(カムイ)クンは前作のボスキャラ槙島と共通点が多すぎる。社会からの疎外感が動機で、ドミネーターで裁くことができなくて、目的はシュビラシステムの破壊。そんでもって感情が欠如していてイケメンで天才。さすがにキャラデザは大分違うんですけど、攻殻機動隊S.A.Cのアオイに雰囲気が似ているからやっぱりデジャヴ。
ついでに言うとストーリーの流れにも既視感が付き纏うのです。公安、そしてシュビラに挑戦する謎の凶悪犯罪者が現れ、ドミネーターがポンコツ化、犯罪係数が測定できない体質の謎解き、事件解決のために朱がシュビラから譲歩を引き出す。はい、どれも一期で見ました。似たような展開を繰り返し、一期であまりスポットライトの当たらなかったキャラを掘り下げる、ということもない。それでは二期を制作した意味があまりない。
それより何より、俺をガッカリさせたのは朱の劣化ですよ!朱はどんな状況でも法の守護者としての信念を曲げない高潔さがあったからカッコ良かったのに、二期の朱はエリミネーターを使いたくないだけの不殺キャラになってしまっている。似ているようで、この差は大きすぎます。まるで死刑が執行されるたびに海の向こうから批判をしてくるアムネスティのような鬱陶しさを感じてしまった。また、彼女を引き立たせるため他の公安メンバーを無能にしてしまっているように感じてしまいました。
ストーリーの矛盾点も大いに気になります。他の方もすでに指摘しているように、おかしな所がちらほら。シュビラが最終話で朱の執行官権限を剥奪していましたけど、それができるなら酒々井(しすい)監視官の権限を最初に剥奪しておけよって話です。そうしておけば、あれほどまでに犠牲者を出すことはなかった。ドミネーターを乱射してシュビラシステムの負荷を上げて場所を特定するという方法も無理がありすぎる。天空の城ラピュタのバルスのシーンで落ちる昔のtwitterかよ。
あとさ、「カムイを裁くには集合体としてのサイコパスを計測する必要がある。だがそうなれば、集合体であるシビュラも裁きの対象になる。それが彼の狙いだった」なんて言ってるけど、カムイはシュビラが複数の犯罪者の脳から構成されているなんて実際に目にする前は知らないでしょ。なんで知ってる前提で話作ってるんですか冲方さん!
*** 判定 ***
俺が見たかったのは一流深夜アニメのPSYCHO-PASSさんだったんですが、どうも2は「PSYCHO-PASSのそっくりさん」でしかなかったようです。絵とか雰囲気とか設定とか似てるんですけどね。おかしいなぁ。
{/netabare}