shino さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
色相の濁り
ProductionI.G制作、SF×サスペンス。
現実の凄惨な刺殺事件に憤りを感じる。
突然の悲報、動揺のあまり声も出ない。
帰宅途中、通勤電車に揺られ、
居た堪れない気持ちを抑えられなかった。
SNSアプリは凄惨な映像を捉え、
その悲惨な光景に憤慨し帰路に就いた。
ずっとこんなふうに考えていたのだ。
超監視社会を加速し、より完全なる形で、
サイマティックスキャンを完成させれば、
この悲劇は回避されたのであろうか?
{netabare}シビュラシステムにより、
色相が濁った潜在的犯罪者を、
事前に隔離、そして排除出来るのなら、
現実社会は秩序を保てるのだろうか?{/netabare}
勇敢にもそのことを問いたい。
優れた芸術作品は、日常を、
現実を投影し、表現し得るものである。
正義と自由は両立するのだろうか?
世界はやがて歪な形で臨界点を迎え、
生得的な差異や能力に基づいた階層を生み、
その歪みに生じた救いのない殉教者の、
返礼出来ない憎悪としての「挑戦的な死」に、
きっと私たちは立ち向かわなければいけない。
心底疲れた…、私もまた弱い人間である。