聖剣 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
陸上経験者以外と感動屋さんなら、きっと満足する
たぶん、
有り得そうでありえないことは
確率は低いが、いずれ現実に起こる
なので
そんな事ぜぇ~ったいあり得ない!ってくらいの内容でないと
今後、物語としては題材になり得ないのかもしれない
その意味では、
空想上の産物が出てくるとか
物理法則を著しく逸脱するようなアニメらしいケレン味は一切ない
だが、
この作品、明らかにファンタジー。
それこそ
素人が箱根駅伝本戦に出場を目指すなんて
ありえないほどにも程がある。
そんなトンデモな内容を扱っている割に
中身は、実に丁寧で繊細な人間ドラマを描いている(と思う)
主要キャラは本戦メンバー想定して10名
各キャラを掘り下げるには、ブレのない幹(物語)の強度が求められる。
各人のエピソードにはそれぞれ濃淡はあるものの、
2クールをフルに使って描き切り、
これがボディーブローのように最終盤に効いてくる。
ここまで書いて改めて気付くのは
この作品が絶妙なバランスの上に成り立っていること。
言い表すなら
ファンタジーとリアリティの稜線を巧みに走り抜いた感じか
例えば、素人が箱根駅伝に出場するなんて
それこそ荒唐無稽であるが
ともすれば急に覚醒したり偶然が重なるミラクルが起こったりして
一気にファンタジー寄りにシフトすることは珍しくないが
そうなると、あぁ…(主役補正かぁ)と冷めてしまう
じゃ、逆にリアリティを追求していくと
簡単にタイムが上がるわけはないし、怪我もするだろう
最終的な落とし所は来年以降に持ち越しだが
これはこれで物語として成立するけど、4年生にはちょっと救いがない
だが物語はそのどちらにも舵を切らずに
最後までこのタイトロープを維持して進んでいく
が、意外と不快感は感じない
普通ならご都合主義だなんだって騒ぎ立てるとこだが
存外あっさりとその内容を受け入れてしまう
その一因にハイジの存在が効いていると思っている
ハイジは走者でありながら
コーチやトレーナー、マネージャーと八面六臂の働きをするが
ちょっと掴めない、極めて人間味の薄い(ように見せている)キャラである
彼の発する言葉には、本気で言っているのか分からない節があり
この飄々とした感じが最後まで「まさかねぇ?」という雰囲気にさせるのだ
と思っているすきに
続々と記録を更新し予選会出場に至る頃には
これくらいなら許せるかなぁ…と思えるほどに感情移入が済んでいる状況
なんとも不思議な存在といえる
では、ここから先は…?といえば
実際に見て判断してほしい
きっと陸上競技経験者以外なら間違いなく満足できるはずだから