101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
劇薬はKY
原作ライトノベルは未読。
平成最凶の流行語は何であったろうか?
本作を観ると一つ、KYと言う一語が浮かんで来ます。
KY?空気読めないって言うけど、大体、空気とは何ぞや?
目に見えない空気。押しても引いても叩いても何もないあの空気。
そんな得体の知れない物に自分の意志を丸投げして、流されて、
果たしてこの世界に存在していると言えるのだろうか?
主人公の男子高校生が「思春期症候群」の美少女たちが抱える心の諸問題に向き合う物語。
“治療”に当り、しばしば立ちはだかる空気とのマッチアップが訪れます。
空気はまさに現代のタブー。空気相手にヘマすれば、
世間から別の意味の空気にされかねないリスキーな一戦。
伸るか反るか……。
インターハイでも、能力バトルでもないのに、
空気との戦いは堪らなくスリリングです。
覚悟しろよ空気!
OPアニメーションのサビ前に、空気相手に主人公少年の右ストレートも決まり?
奴をノックアウトする準備は万全だぜ!
セリフ回しは、時に擦れて、やや浮世離れした感もありますが、
青春や時代の本質。適宜、量子力学などの科学設定の知見も交えながら、
認識したくても上手く言葉にできない物を浮き彫りにする切れ味は健在。
特に社会から外れ気味の「思春期症候群」の少女たち。
主人公少年に至っては、ある一件がキッカケで、
グループだのスクールカーストだのどうでもいいとばかりに、
もはや数段階、解脱しているのではないかwと言うくらい擦れていますがw
世間と離れているが故、外側からでないと観測できない物が彼ら彼女たちには見えています。
そんな主人公少年と「思春期症候群」の少女との毒舌ジョークの応酬はシニカルですが、
私には何か来たるべき空気との一戦に向けて、
ホンネで互いのタブーをつっつき合うスパーリングにも見え、
何だかとってもくすぐったいですw
好きなヒロインは麻衣先輩ですが、
理央も量子論なども交えて「思春期症候群」の解説を試みる設定案内担当なので、
自然と気になってしまう存在です。
私も理科室でアルコールランプとフラスコで煎れたコーヒーでも飲み交わしながら、
(あのコーヒーって旨いのでしょうかw)
相対性理論などについて語り合ってみたいですw
シナリオの季節は通年対応ですが、最初のエピソードの始点は5月なので、
気になった方は今くらいから観始めると時節に合って良い滑り出しになるかと思います。
観終わった頃には、6月の新作劇場版公開もすぐそこですしね。
さてと、私も『青ブタ』観て、レビュー書いて、
空気に対する日頃の恨み辛みも発散できたことですし、
明日からまた、チマチマと空気を読む苦行に戻りましょうかw