pister さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
TV版を歯を食いしばって観た人ほど楽しめる?
あっ、スゲーやこれ。
TV版が気に食わず、劇場版も大したこと無いんだろ?と思って見ることすらためらっていたのだけど、いざ見てみたら…。
TV版で糞だった部分を徹底的にカット
ビックリするくらいTV版の糞ポイントを消し去り、残った「良かった部分」を再編集した感じ。
まずベルガー(藤原啓二が声を務める死の商人)がカットされてるのは知ってたけど、それに付随する形でTV版で余計だった部分が丸々カット。
具体的には…
・ウインダミア星にあった時空震弾の爆心地の件カット→連動して主人公の親父の件もカット→糞裁判もカットだし窮地を脱した機体は保管されてた親父のもの(骨董品、動くどころか弾まで積んでた意味がワカラン)から鹵獲されたメッサー機へと差し替え
・ヴァールシンドロームの原因説明もカット→TV版は原因明かしたところで解決には至らなかったからね、だったらもう最初から「そういうもの(疑問を挟む余地の無いもの)」として突き通すスタイルに変更
元々ベルガーの存在自体が「どうにかして前シリーズのマクロスとの関連性を語らせよう」というポジションだった訳で(爆心地は「超時空」を意識したものだし、シンドロームはフロンティアからの続きだし)、ベルガー居なくなったことでそこら辺こだわる必要が無くなってスッキリとスリム化が計れた模様。
代替となる説明が必要(ウインダミアが統合連合を恨む理由や、あそこまでの軍事力をどうやって溜め込んでたのか)な気がするけど、普通に短命なのを嘆いてとプロトカルチャーの遺跡の力ってことでいいのかな。
そもそも「これはマクロスシリーズです」ってのを強く意識させたいのであれば、前作の関連なんかよりももっと他にやることあるだろ?と思ってたのだけど、そこもしっかりフォロー。
・マクロスが居住ドームとドッキングして逃走(宇宙漂流)する部分をマクロス級3機出撃に差し替え→これによりマクロス同士のドツき合い=クロスカウンターが実現、ふおおお、ふおおおお(興奮)
・戦闘がファイター形態ばかりで代わり映えがなくクソつまらなかった部分をバトロイドモード増し増し、またアーマードバルキリー追加
な、なんだって…アーマードだと?マジで!?
もう出た瞬間から大興奮だし、被弾してボロボロになってもパージすれば中のバルキリーは無傷とか…もうね、“わかってるじゃ~ん”としか言いようが無い。
「なんだよもー、だったらTV版で出せよバカー」と叫びたい衝動に駆られたけど…予算か?予算なのか??
話は戻って他にカットされたTV版では糞だった部分は…
・歌姫やエースパイロットがスパイ紛いなことをさせられた件(リンゴ水とか)
・各キャラの過去話をほぼほぼカット
・それプラス2クール目以降の恋愛話や歌う・歌わないのグダグダした展開カット…ってか2クール目はクライマックス以外まるっとカットと見ていい。
上で書いたのと被るけど、最初の頃はウインダミアも歌奏兵器の実験段階で、それってヴァールシンドロームの原因に関わる部分なので、そこをカットしたら実験を探る(スパイごっこ)ってシーンもカットされる。
ただ、これによりヤクモの不思議ちゃん描写が劇場版では薄くなってしまったのは否めない。
まぁキャラの掘り下げが薄くなったのはどのキャラも一緒で、歌奏攻撃受けたときに「私たちには耐性があるから」とか、ミラージュの「おじい様もおばあ様も関係ない」とか、TV版知らなきゃ「何を言ってるんだ?」と理解できない部分があるのも事実。
…ってことを考えると、TV版未視聴で劇場版だけを見た人が楽しめる作りになってるかどうかはちと疑問。
それよりもこれ、ひょっとして…TV版をクソだクソだとより強く思ってた人ほど劇場版面白く感じるんじゃないかな?
TV版の糞ポイントをズバズバ切り捨ててく様はもはや爽快感すら覚える。
逆を言えばTV版は練習というか習作扱いだったんじゃない?
そんなん見せんなよと思わなくもないけど、何処が悪かったのかスタッフが自覚してるのを分かっただけでもこちらとしてはホっとする。
もしくは劇場用に新スタッフ呼んだりしたのかね?
その人が優秀で、糞ポイントを推したがる勢力に「いや劇場版時間短いんだからバッサリいきましょう」とボツを叩きつけるやり取りとかあったのなら…最高だな。
誰だよベルガー出そうなんて言い出した奴は…河森か?謎引っ張るのはレディMだけで充分だろうに。