アイコン さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
サムライ×ヒップホップ
久々のレビュー投稿。
だいぶ前に見た作品ですが、ついこの間見た『ゾンビランドサガ』のヒップホップ回を見てこの作品を思い出し、レビューに至った次第。
サムライとヒップホップ要素を取り入れたアニメ。
無限の住人とかSAMURAI DEEPER KYOとか銀魂のような、現代的要素の入ったサムライものです。
ヒップホップ&サムライっていうと、『アフロサムライ』っていうのもありましたね。あちらも面白いので是非見てみてください。
OPからしてハイセンスなんですが、実はこの映像、『サマーウォーズ』や『バケモノの子』などを手がけた『細田守』さんが絵コンテを手がけてるんです。
カッコイイですよね。
途中の話にあるサイケな映像は今石洋之さんや湯浅政明さんが手がけていたり、久々に見返した時にはかなり驚きがありました。
音楽は、ヒップホップの中でもローファイヒップホップ(少し荒削りなサウンドのヒップホップ)と呼ばれるジャンルの元祖的存在、『Nujabes』が手がけてます。(しかしこの方は、他界されてしまいました……)
監督の渡辺信一郎さんは、『カウボーイビバップ』や『坂道のアポロン』、そして今期の『キャロル&チュースデイ』でも音楽へのこだわりが見られましたが、サムライチャンプルーでも十二分にその傾向が見られますね。
ストーリーは、ぶっ飛んだ時代背景無視の話が入ったりもしますが、基本は王道な時代劇ものという感じで進んでいきます。「向日葵の匂いのするサムライ」のオチがちょっとありがちなものなのが残念でしたが、演出のおかげもあってか、かなり楽しめた作品になりました。
この作品、海外での受けも良かったらしく、特に音楽方面ではかなり影響を与えたようです。
実はこの作品が作られる前、こういった音楽は『ローファイヒップホップ』などとは呼ばれてませんでした。
しかしサムライチャンプルーが放送されると、アニメ映像と荒削りなヒップホップのサウンドがミックスされたその異端性が、ヒップホップ界隈にかなりの衝撃を与え、多くのトラックメイカーが後続で、アニメの映像にヒップホップを合わせたミュージックビデオを多く作るようになります。それが後に「ローファイヒップホップ」と呼ばれるようになったようです。
この作品の影響は計り知れないですね。
演出も異端的で、スクラッチの音に合わせてシーンが変わったり時間が巻き戻ったり、ヒップホップ的演出を多大に取り入れています。
まるでずっとミュージックビデオを再生しているかのようなテンポとノリで、アニメとしても非常に見やすいです。
ちなみに冒頭である「現代から江戸時代まで映像が巻き戻る」シーンは、幕末太陽傳という映画のパロディのようです。この映画でも、現代から江戸の映像へ切り替わるシーンが入ります。それを現代的な演出でまとめたのがあのシーンという感じでしょうか。
音楽要素とアクションを全面に出した作品は、ストリートオブファイヤー、クロウ飛翔伝説、最近だとTokyo Tribe2とかベイビードライバーなどありますが、こういった音楽×アクションの作品は個人的に大好物なので、これからも増えていくことを願います。
昔、海外の監督のロベールブレッソンという方が、「音楽は映画を弱くするが物音は映画を力強くする」という言葉を残したようですが、個人的にはそうではなく、「どのシーンにもそれに相応しい音楽や音を当てはめれば、十分に映像を力強くする」と思っています。実際この作品のアクションシーンは、作画の良さも相まって素晴らしいものに出来上がっていますからね。チルなサウンドとの相性もGood!
「設定がめちゃくちゃすぎ」
「江戸時代はこんなんじゃねぇし」
「サムライとヒップホップとか意味わかんね」
「はいはいオサレオサレ」
こういう人たちには、一言。
「黙ってみやがれ!!!」