瀬名 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
仕方なく無理やりねじ込まされたヒロイン感
ひさ〜しぶりに鑑賞したのでせっかくなのでレビューを。
何度観ても鑑賞後はもの哀しく、やるせなさが残るアニメ。
でも、作画、声優はとても良い。
特に、普段は落ち着いているナインがスピンクス動画の時だけちょっとくだけた感を出す喋り方になるのは面白かったし、抜け感が絶妙だった。
全体的には面白かったが、一部ストーリーに無理やり感があり、違和感が残る。
そしてその違和感が全てを台無しにしている作品。
まず、なぜ2人は高校生として転入する必要があったのか。
学校に通うことの必要性が一切感じられなかった。
ヒロインと出会うために無理やりねじ込んだ設定感が強い。
最後に仕掛ける原爆を学校に隠したかったからというのも取ってつけた感があって、学校に通い、声や容姿を周りに分からせてしまう危険性の方が大きいのに、ちょっと理解ができない。
(動画撮影時、ツエルブは普通の声だし、学校にいた時のテンションと変わらないから、身バレの可能性が出てしまうのでは?)
ヒロインに魅力が全くない。これがまぁ、全てのマイナス要素。
同情する生活を送っているリサだけれど、家出をしたのはナインとツエルブが助けてくれると思っていたから。
非常に他力本願で、自ら何かをなそうとは全くしていない。
その後も、役に立ちたいから=自分勝手なわがままで迷惑しかかけていない。
もう一度捕まっていて、身元がバレているのに抜け出すなんてあまりにも考えが足りないし、足を引っ張りすぎていて見ていられなかった。
こんな性格に設定されたヒロインがむしろ気の毒。
ツエルブはなぜそんなにもリサに惹かれたのか、守る対象が欲しかったのか、
そのあたりの掘り下げが少ないから疑問が晴れない。
あんなに子供に執着している親がいて、どうして警察に通報しないのか。
もし通報されたら捜索され、逆にナインとツエルブが追い込まれる原因となってしまうのだから、放っておくと危ないからと隠れ家に引き込むなんて悪手すぎる。
家庭環境がどうあれ、普通ならば捜索願を出す。その可能性を考えないナインではないと思うからこそとても不自然だった。
リアルを追い求めているようで、非現実なご都合主義が目立った。
他はリアルに描かれているのに、ヒロインが絡むと破綻する。
要するに、ツエルブがナインを裏切るという構図を作りたいから、裏切るためのヒロインが必要だったから入れた。
そんな、無理やり感が邪魔だった。
大筋に絡むので、いくら物語が良くて、終わりが良くても物語に☆5はつけられない。
自分たちが声を荒げるだけではかき消されてしまう大きな国の罪を前にした時に、
少年たちができる手段はテロしかなく、人を殺さないようにというのがせめてもの理性だった。
ナインとツエルブの行動はテロだから決して許されることではないのだろうけれど、
彼らの人生を思えば、完全悪とは思えない。
大人に人生を奪われたナインら子供達は本当にかわいそう。
ツエルブが話していた、誰かに必要とされたかった欲望はおそらくナインも持っていて、
ツエルブにはリサが、ナインにはハイヴという構図だったのだろう。
相手が壊れすぎちゃったハイヴって、ナインの役回り気の毒すぎでは?w
柴崎というキャラがとても良く、ナインやツエルブとはもっと違う形で出会っていて欲しい存在だった。
個人的なキャラの魅力度
柴崎>ナイン>>>>>>>>ツエルブ>>ハイヴ>>>(越えられない壁)>>>リサ
ハイヴは国家とか関係なく出てきていれば、もっと魅力を発揮できたキャラだったと思う。
色々言いたい放題言いましたが、何年かぶりに本作を鑑賞したけれど、改めて観ても面白かった。
声優と作画、音楽に感謝。
物語はもう少し破綻なくお願いしたいところだけど…11話ってかなり短いから、その割にはよかった方だと言えるのかもしれない。
まぁ個人的にヒロイン嫌いでしたが。
こっからは完全な蛇足。
他レビューを読んで思い出したけれど、そういえばどっかの国で放送禁止されていましたね。
全話観ればこれが悪影響を及ぼすなんて到底思えないけれど、これが危険視されるほど国民が信用されていないのは不憫だなぁと思いました。