蒼い✨️ さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
セガサターン版当時は好きなゲームでしたが。
【概要】
アニメーション制作:feel.
2019年4月 - 10月に放映された全26話のTVアニメ。
原作は、1996年にエルフより発売された18禁SFアドベンチャーゲームであり、
リメイク版が2017年にMAGES.より発売。
監督は、平川哲生。
【あらすじ】
主人公・有馬たくやは、境町学園に通う高校3年生である。
幼いときに母親・恵子を亡くし、有名な歴史学者である父親の“有馬広大”も、
2ヶ月前の落盤事故で遺体不明の死亡扱いで失ってしまい、
半年前に、父・広大と再婚した8つ歳上の義母・亜由美と二人で生活している。
血の繋がった両親がいなくなった影響で、荒れた生活を送っていた。
ある日、たくやが帰宅すると謎の装置と父親からの手紙が(アニメでは別々に)届いていた。
手紙によると父親は生きているという。手紙の指示に従って謎の装置を持って、
夜10時に剣ノ岬に行くと、全裸の金髪の少女が横たわっていた。
少女が目覚めると、涙を流し自分の名“ユーノ”を告げるとたくやに口づけをし、
文字通りに目の前で消失した。そこへ、父親の研究仲間であった学園長・龍蔵寺が、
義母の亜由美を連れて現れ、その装置を渡せとたくやに銃を突き付ける。
そして、地響きと雷が起こり謎の装置が発した光が三人を包み込む。
目覚めると、龍蔵寺と亜由美は剣ノ岬からいなくなっていて、
たくやはそのまま帰宅した。翌日、登校したたくやは龍蔵寺と亜由美に会うが、
昨晩のことを尋ねてみても話が噛み合わない。
謎の装置「リフレクターデバイス」は、並列世界を行き来するための機器であり、
たくやは昨晩に二人と会ってない世界線に移動していた。
父親からの手紙に同封されていたマニュアルで「リフレクターデバイス」の使い方を覚え、
たくやは行動によって分岐する並列世界の移動を繰り返しながら、
この物語の謎と真相に近づいていくのだった。
【感想】
もともとは20世紀末のパソコン用ソフトの名作アダルトゲームで知られる作品なのですが、
存在を知ったのは家庭用ゲーム機のセガサターンに移植ということで、
当時愛読していたセガサターンマガジンに掲載されていた記事でした。
ゲーム雑誌の表紙を飾るアニメ絵のイラストが目に止まり、
左から順番に制服を着用した神奈、ユーノ、澪の3人が寄り添ってピースしている絵で、
今の基準ではくどい絵柄ですが、当時としては可愛いと思いました。
実際にサターン版をプレイしてみるとボディラインと胸元を強調したセクシーな格好だらけ。
継母の亜由美さん以外の女性キャラの私服のセンスがボディコン絵里子先生クオリティ。
やたらパ○ツが丸見えですし、檜山修之演じる主人公・たくやがオヤジ臭いスケベ目線。
そういや、原作ゲームだと不自然にパンチラしまくってたのですが、
TVアニメ版ですと常識をわきまえてか見せないですね。
サターン版でも作中のニュースキャスターの朝倉香織と義母の亜由美さんが、
ニュース番組でテーブルの下からパ○ツを見せまくってたのですが、
20世紀の深夜のお色気番組じゃあるまいしローアングラーなTVカメラなんかリアルじゃありえない!
って笑いながらプレイしていましたっけ。アニメでは見せてません。
今の基準ですとセクハラずくめなのですが、澪を除いて女性キャラが嫌がる素振りすら見せない。
そこは大人の余裕の現れなのか?エロトークは単なるジョークなのか?
ていうか、女性キャラが全体的に主人公・たくやに対する好感度が高いので受容してるみたいな?
スケベでバカっぽいけど、行動力があってやるときはやる男。
逞しい♂に♀は惚れるみたいな、作者の理想主義?
その一方で、主人公と対等な友人もカッコいい男性脇役キャラもいないのは、
ヒロインたちが目移りするような存在はエロゲに不必要という意思表示でしょうか?
感情の流れには個人差はあるのですが『抱いて!』でヒロインらの恋愛表現が終わりがちなのは、
当時の時代のセンスというにも一般的とは言い難く、原作者の菅野ひろゆき氏は、
ハードボイルド、SF、官能の入り混じった世界観がお好みのようでして、
『EVE burst error』はプレイしてないですが、『DESIRE』をプレイした経験から見るに、
男女の関係にもプラトニックとか理屈には価値を感じてないようで、
男女が惹かれ合うのにも本能的は感情オンリーで言葉なんて要らない、男と女がやることは一つ!
タイトルに“恋を唄う”をつけているにしては、物語や表現がセクシー路線に偏りがあり、
エロスありきで恋愛描写が大雑把すぎるかな?と、元々がアダルトゲームなので当然なのですが。
未プレイですがMAGES.から出たリメイク版は時代に合わせてキャラデザがリファインされましたが、
原作者の菅野ひろゆき氏のエロ目線の入ったtextはそのままだそうです。
アダルトな要素を外したら、物語として成立しないと言っても過言でない影響がありますので、
たくやの発言や行動がノリが古くてスケベ丸出しでも仕方ないところでしょうか?
原作ゲームの大まかな流れは覚えているのですが、
謎解きや細かい話は大部分を忘れていますので、いちいち比較はしないのですが、
失敗し続けるたくやが間抜けに見える、某キャラの自殺ループ、
『今日から俺は』のパロディキャラなど表現に疑問を感じながらも、それなりに楽しめました。
現代編でもアレンジだらけだったのですが、
異世界に行ってから展開におや?と思うことが増えましたね。
さくさく新キャラが出てはさくさく死ぬために、物語のパーツとして死が薄く軽く見えてしまいます。
詳細は省きますが、原作では納得できる現地妻・セーレスの自殺が状況を変えてしまったことで、
意味不明な行動になってしまいました。更には展開を変えてしまったことで、
セーレスの埋葬をたくやを行えず、惜別と復讐の決意の旅立ちがあっさり流されてしまいました。
物語には感情と理屈がありますが、登場人物の心の流れが丁寧に扱われてない点で疑問がありますね。
他のレビュアーの方も指摘しているのですが、一番無いわーと思ったのが、
異世界でペットとして育てられたクンクンの犠牲が話のアレンジで無駄死ににしか見えないところ。
崩壊する収容所から、クンクンがたくやとアマンダを救い出して砂漠を飛行して踏破して、
帝都の近くで力尽きて命を落とすのですが、
原作では前述のニ名を除いて収容所の崩壊に巻き込まれて奴隷も兵士が全員死亡したのに対し、
アニメではレジスタンスのメンバーが収容所に潜入していて奴隷も兵士も生き残り多数。
クンクンが死んだ後の夜に、ダチョウみたいな鳥に騎乗して出発して砂漠をあっさり超えた、
レジスタンスのメンバーが時間差が大して無く帝都に到着して、たくやたちと合流できたあたり、
一緒に陸路で砂漠を超えればクンクンは普通に生き延びられたんじゃないの?
安易に感動させるためクンクンを無駄に死なせてしまったようにしか見えないアニメ版の表現に、
シナリオ監修は機能してないの?と疑問に思いました。
そういう、おかしな改変要素が無かったらシナリオを高く評価していましたので残念ですね。
原作からアニメ向けへの再構成やアレンジは仕方がないとしても、
覚えている部分だけでも、原作と同じ結末であれば経過を弄り放題で、
話の流れとして雑に思えるところが増えていて、
原作ゲームのファンの悲嘆は如何程のものだろうかと?
作品としての評価が芳しくないのは仕方がないかな?と思いました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。