「CLANNAD [クラナド](TVアニメ動画)」

総合得点
89.9
感想・評価
8643
棚に入れた
33677
ランキング
70
★★★★★ 4.1 (8643)
物語
4.2
作画
3.9
声優
4.1
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

“人生” は始まったばかり

もはや先入観ゼロで観ることは不可能なくらいの有名作品。
以下、1期相当『CLANNAD』のみの感想です。

「感動する」「泣ける」「人生」

未見の人は“泣き”や“感動”を求めてこの作品を手に取るはずです。そして本丸は『CLANNAD ~AFTER STORY~』になるかと。ゲームは未プレイです。

本編22話+番外編2話 『CLANNAD』
本編22話+番外編2話 『CLANNAD ~AFTER STORY~』

見た通りAFTER STORY (以下AS) を視野に入れると長丁場です。
時間に少し余裕のあるゴールデンウィークに、あまり期待値を上げずそして流れ作業にならないように本作を鑑賞しました。
期待値コントロールではこの視聴スタンスが鍵。泣ける作品といえばで筆頭くらいのタイトル。泣きジャンルほどフラットな心の持ち様が求められるものはない気がします。泣く気満々で待機して期待外れなんてことはザラ。逆にスカした態度で素直になれずそのまま終了なんてことも。「絶対泣かないんだからね」と自家発電でツンデレして上手くいくほど甘くはありませんし、一人でやったら気色悪いだけです。
さらに、流れ作業というのも隠れたポイントかなと。本丸のAS目当てで視点を先に置くと目の前に集中できません。期を重ねるごとに失速するお決まりの展開とは逆で、続編の評価が高いタイトルは珍しい。しかもそれを事前に知っています。眼前には22話と2クール分。
メインディッシュを美味しくいただく前に、前菜も楽しめたらラッキーでした。結果は・・・


 “人生は始まったばかり”


ですね。温かく見守りたい心境です。
高校生岡崎朋也(CV中村悠一)を中心に複数の女子高生が絡むストーリー。ギャルゲ出自らしいといえばらしい展開で、各女の子の相談に乗ったり手助けしたりで話が進みます。
そのサブストーリーといえる一つ一つのエピソードは当人家族が関係してる問題というのが共通していて、“CLANNADは人生”の片鱗が伺えます。

{netabare} 1話~9話 伊吹風子(CV野中藍)のターン
 10話~14話 一ノ瀬ことみ(CV能登麻美子)のターン
 15話~22話 古河渚(CV中原麻衣)のターン

一人頭、最大8話分を使うなど贅沢な尺の使い方です。坂上智代(CV桑島法子)と藤林杏(CV広橋涼)&藤林椋(CV神田朱未)の双子ら他のサブヒロインも絡んできますが、メイン渚を引き立てるような役回りでした。3人とも風子やことみの掘り下げっぷりには及ばないものの、それでも他作品のキャラ回よりも時間をかけて描かれてます。{/netabare}

1クールのギャルゲ出身アニメで複数ルートを匂わせた作品がことごとく尺の足りなさを感じさせるものばかりなのと比べて、そのようなマイナスを感じさせません。サブストーリーどれもが良いお話でうるっとくるのは確かです。
本編22話と番外編含めて満足の24話でした。これといった“推し”を挙げるのが難しいくらいどのエピソードも粒ぞろいの印象の良作です。



ただし引っ掛かりがあるのもこれまた事実だったり。
それは各ヒロインのキャラ設定。せっかくの良シナリオをヒロイン達の言動で足を引っ張ってます。

{netabare}・彫ったヒトデ(星)を招待状にという発想がぶっ飛んでる(風子)
・どれだけゴーイングマイウェイなんざんしょ(ことみ)
・日常的にバイクで人を轢いちゃダメじゃん(杏)
・演劇部復活とパワー要りそうなのに動機づけ弱く、ほぼ朋也任せ(渚)
・渚とキャラ被ってません?(椋)
・智代はいいね{/netabare}

悪い意味でアニメアニメしてリアリティ薄め。極端なキャラ作りをされてます。このへんが“古臭さを感じさせる”理由かもしれません。

私なんかはヒューマンドラマを見せるならセリフひとつ行動ひとつリアルさを求めてしまいがちなんでこう思ったわけですが、だったら実写でやればいーじゃんの一面もあったりで難しいところです。表現の好みなんだろうと思います。

良いシナリオVSアニメ的にデフォルメされたキャラ。
ここで感じる不協和音が大きくなってしまうと、やたら大きな目のキャラデザインが気になりだしたり、サブストーリーのクライマックスで感情移入しづらくなったりなんてことも充分あり得ます。私はその二歩くらい手前で止まることができました。アニメ視聴に慣れたんでしょうね。


そんなマイナスを差し引いても良い作品でした。
使われてる曲もOPEDともに力入ってますし、劇伴もパターンは少ないながら効果的な使われ方をしてます。

{netabare}お気に入りは、18話で岡崎が渚を好きだとみんなわかってしまうテニス試合のシーン。
ここだけ妙に明るい曲を挿入していて、逆に切なさを増幅させる効果があったのではないかと。杏の顔が涙で歪んでしまう作画と合わせて1期全編通じて最も心揺さぶられたシーンでした。

{netabare}言葉で引導を渡される方がよっぽどラクなのです。{/netabare}{/netabare}

{netabare}同じくお気に入りであり印象に残ったのは、13話。ことみ父の薫陶でしょうか。

「真理を探究するものは傲慢であってはならない」
「科学の言葉で語り得ないからといって奇跡を笑ってはならない」
「この世界の美しさから目を背けてはならない」

シンプルでとても綺麗な言葉。
IPS細胞でノーベル医学・生理学賞を受賞された山中伸弥教授が同じようなスタンスだったかと思います。京都大学と京都のアニメ会社ってのもなかなかおもしろい偶然です。{/netabare}

ついでに、各々の親たちが子供を想っているさまそれぞれ良かった。
ことみ両親や渚両親だけではないです。子どもとの距離感に迷う岡崎父だってそう。親は子を想うもの、、を貫いているのはとても好感がもてます。


奇しくも超有名作品に対峙する時の心構えみたいなものを学習した気分です。


期待値上げず
決して流さず
アニメアニメしたキャラを前にしてもいつも静かに笑っている
サウイフモノニワタシハナリタイ

{netabare}さてさて続いて、この世の美しいものを最もシンプルなもので表現されたなにかに出会えるのでしょうか?{/netabare}
身体は充分温まりました。続けて『CLANNAD ~AFTER STORY~』いってみよー!



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2019.11.15追記


何かと理由をつけて視聴を先送りしがちな長編もの。
今年(2019年)はこれと『エウレカセブン』の4クールもの2作品を堪能しました。
本作は個人的に、1クールものとは違う楽しみ方があると気づけた意義のある一品です。


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視聴時期:2019年4月   



2019.05.05初稿
2019.11.15追記

投稿 : 2019/11/15
閲覧 : 731
サンキュー:

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