木ヨン さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
CLANNADが教えてくれたこと 〜人の一生の美しさ
本作はアフターストーリーの名の通り、主人公の岡崎朋也と古河渚が付き合い始めてからの話が主題です。前半のクラナドから持ち越されていた、現実世界と並行して要所要所で挿入されるシーン(ゲーム上では「幻想世界」と呼ばれている)の謎もこのAFTER STORYでは徐々に明らかになっていきます。
本作の一番の特徴は、仕事、結婚、出産、そして死まで、従来のアニメやゲームではあまり描かれることのなかった部分も含めての「人の一生の美しさ」に着眼した点だといえると思います。前半のクラナドで楽しい学園生活を描いた分、後半の本作では人生の厳しさがきっちりと描かれているところが作品に一層リアリティを持たせており、個人的には電気屋で働く主人公と先輩社員芳野との専門用語のやり取りや、外国人労働者が会社に在籍していたり(実際には日雇いなどが多いでしょうが)するところに、制作サイドの意気込みを感じさせられました。
また本作では、先に挙げた「幻想世界」が巧妙な仕掛けとして機能しており、{netabare}現実世界で徳を積んだ(たくさんの光を集めた)ことによって主人公の願い(渚と汐が生き返る)が叶います。これは一見「一度きりしかない人生」という考え方に反するようにも見えますが、実はその逆で、「現実の私達はこのアニメのように人生をやり直すことはできない。だからこそ一度きりしかない人生を、人との繋がりを大事にして生きなくてはならない」ということ{/netabare}を逆説的に伝えているのだと思いました。制作サイドも「クラナドの後に何を作ればいいんだろうという感じ」と語っていますが、そう思える程に沢山の想いがこの作品には詰まっているのでしょうね。